私たちの生きる世界では「終わりなき経済成長」をテーマに人々が邁進しています。それをこなすのは大変です。誰もが効率的に働かなければ世界が回らないと思い込んでいます。過剰な世界を支えるのは「強い人たち」です。健康で体が強く、より早く、より多くのものを生み出さなくては勝ち残れない世界が一番なのだろうか?私たちはより少なく、より遅く、より弱い生き方で自由になれるのではないでしょうか?
文化人類学者の辻信一さんが新しい生き方考え方を提案します。
どこから見ても弱虫のように見えるナマケモノだが、実は「生存」という基準から見れば、なかなかの強者らしい。 競争に勝ったものしか生き残れないという「弱肉強食」のイメージと異なる現実とは??
生物にとってもっとも重要なことは生き残ること。でも「強い者が生き残る」とは限らない。弱肉強食は自然の中のほんの一局面だ。 全体を見渡すと違った世界が見えてくる。
人間も生き物である。私たちは人間らしく、生き物らしく生きているだろうか? 自然と調和して生きていくために必要な、最低限の条件を奪ったり、奪われたりしていないだろうか?
文化人類学者。環境活動家。明治学院大学国際学部教員。通称「ナマケモノ教授」。「スローライフ」「GNH(国際総幸福)」「キャンドルナイト」「ローカル化」「直耕」などをキーワードに環境=文化運動に取り組む。著書に『スロー・イズ・ビューティフル』(平凡社)『「ゆっくり」でいいんだよ』(ちくまプリマー新書)「ぶらぶら人類学」(SOKEIパブリッシング) など。