目標を達成できる人とそうでない人の違いは、本気で考えた回数の違い

あたり前化は、美沙の日常の何を変えるのか? ある目標を無理だと捉えた瞬間、人の脳は一瞬で思考停止する。しかし、それを達成するのがあたり前だと考えたら、人の脳はフル回転して、それを達成する方法を探す。それが、目標を達成する人とそうでない人の違いです。この小説は、ある崖っぷちOLが会社の魂を変えるまでを描く新感覚のビジネス小説です。

営業会議でひとり3億円という目標を言い渡されたマイクロ営業第一課。

足早に自席に戻る男性陣とは対照的に、美沙はどうしようもない焦燥感にみまわれていた。

営業に配属されたのは、つい先日のこと。3億円の売り上げ!? ムリムリ、絶対にムリ!!

大した知識も経験もないのだから。出来ないのであれば早めに伝えればいい。

「3億の予算ですが……私もでしょうか?」美沙は坂井の行く手をさえぎり、質問をした。

「そうですね、」

「ム、ムリです……」

「目標が高すぎるということですね。浅井さん、“ムリ”と言う前に、3億の予算を達成するためにどうしたらよいか、考えてみましたか?」

「えっ?」

「では浅井さん、明日の朝11時に、まだ一度も行ったことのない客先へ行くとして、どうやって11時までに訪問できるかを『考える』回数は、どれくらいでしょうか? 正確な回数はわからなくても、何度か考えますよね?」

「考えると思います」美沙は思わず口をとがらせた。

「まずはホームページで住所を調べ、路線案内で経路も調べることでしょう。そして実際に家を出てからも、何度も時計を確認し、11時までに到着すべく、意識的に『考える』でしょうね?」

「はい。遅刻するわけにはいきませんから」

「あたり前ですよね?」

「はい、あたり前です」

その言葉に坂井はうなずき、質問をつづけた。

「浅井さんは3億の予算を聞いたときに始めからムリだと思っていましたか?」

「……はい」

「始めから、ムリだと思っていたということは、どのように3億の予算を達成しようかと『考えた』回数は、ゼロということですね?」

えっ……。

「客先へ朝11時に訪問するケースで考えると、浅井さんは、何度も『考える』のです。これが、11時を過ぎてもいいとなると、意外と考えないものですが、絶対に到着をしなければならない場合、人は脳内でそれを達成できる方法をいくつも探るのです」

美沙は何も言い返せなかった。

「11時に客先に到着するためには、10時40分に最寄りの駅に到着しなくてはならない。10時40分に最寄りの駅に到着するためには、10時に電車にのらなければならない。10時の電車にのるためには、家を9時30分に出なければならない。これはあたり前ですよね」

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

目標を達成できる人とできない人は何が違うのか?

この連載について

初回を読む
キラキラOL浅井美沙 わたし今日からキラキラをやめてギラギラします!

菅沙絵

仕事なんて、生活のため、寿退社までの腰かけに過ぎないと思っていた――。 そこに突如まいこんだ『希望退職者募集のお知らせ』。 やる気ゼロの崖っぷちOLが会社の魂を揺り動かすようになるまでの奇跡の成長を描く。 Yahoo!トピッ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

chiponyo 公開されました!|[今なら無料!]キラキラワードに騙されるな! 私たちはやる気をなくす言葉に囲まれている 5年以上前 replyretweetfavorite