犯罪者による出版」はイギリスでどのように規制されているのか?

現在、日本では殺傷事件の加害者・元少年Aによる手記出版をめぐってさまざまな議論が起こっています。日本と同じく、このような出版に対する法律がないイギリスでは、犯罪者の自伝、犯罪記録の出版をあらゆる方法で阻止しようと奮闘してきた歴史があるようです。出版した側がイギリス政府を訴えてしまった例や、出版による印税によって報道が激化した例など、代表的な議論を取り上げます。

犯罪者の自伝や回顧録の出版規制の歴史

イギリスでも日本と同じく、犯罪者による自伝や、犯罪記録の出版に対する法規制が議論になった例があります。

代表的な例の一つは、1989年に出版された「The Blake Escape: How We Freed George Blake and Why」です。George Blake は、MI6とKGBの二重スパイで、イギリスで服役中でしたが、過激な平和活動家であるMichael Randle とPat Pottleの手引きで、1966年に脱獄します。この書籍は、脱獄方法を詳しく書いたものです。これはイギリス歴史上、最もドラマティックな脱獄だったと呼ばれています。脱獄後一週間ほどMI5が事実に気がつかず、さらに、1989年に脱獄の詳細が明記された書籍が出版されたにも関わらず、MI5の足並みが遅く、Randle とPottleはしばらく逮捕されなかったために、イギリス政府は大恥をかきます。ちなみに、この出版により、Randle とPottlは出版社から3万ポンド(1ポンド180円として約540万円)を得ています。

イギリス高等法院は、この書籍から筆者が得た利益は、犯罪から得たものに相当し、利益は没収に値する可能性がある、としています。Blake自身の回顧録「No Other Choice」も1990年に出版されるのですが、長年恥をかかされてきたイギリス政府は、ありとあらゆる方法で出版を阻止しようとします。

政府を訴える犯罪者
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コメント

jasminjoy メリーベルが出てくる話は山岸凉子さんが描いていなかった?フィクションにしてあったけど。> 4年以上前 replyretweetfavorite

May_Roma イギリスで犯罪者の出版が問題になった事例の一つは、KGBとMI6の二重スパイによるもの。 4年以上前 replyretweetfavorite

May_Roma イギリスで犯罪者の出版が問題になった事例の一つは、KGBとMI6の二重スパイによるもの。 4年以上前 replyretweetfavorite

May_Roma イギリスでは高額印税と引き換えに自伝を出版した幼児殺害犯が、マスコミや一般人により改名後の名前と住所を暴かれて大騒ぎになり、犯罪者の自伝出版を規制するきっかけとなった→ 4年以上前 replyretweetfavorite