山内宏泰
ゴールキーパーなのに無防備?——「数センチのポジショニング」
東京・三宿のカフェ「SUNDAY」の展示スペースでは現在、飯川雄大展「数センチのポジショニング」が開催しています。草サッカーでゴールキーパーをする人たちの飾らない姿をおさめた写真たち。これらの写真は、可笑しいながらも、どこか現代の私たちが共感してしまような一面があります。カフェで料理やお酒も楽しむことができ、ゆったり過ごすことができるので、お時間があるときに訪れてみてはいかがでしょうか?
東京・三宿のカフェ「SUNDAY」は、豊富な料理とともに喫茶、お酒ともに楽しめるお店です。最寄りの地下鉄三軒茶屋駅から少々離れていることもあって、腰を据えてゆったり時間を過ごせる穴場。お目当てはそれだけにとどまりません。壁面や店の奥のスペースでは、アートの展示も繰り広げられているのです。
現在は、飯川雄大展「数センチのポジショニング」が開かれております。店内と展示スペースには、人物の姿を捉えた写真作品がいくつも並んでいます。性別、年齢、国籍もバラバラにおもえる人たちですが、総じて身体を動かしやすそうな服装をしていることは見てとれます。広場など開けた屋外にいるのも共通していますね。彼ら彼女たちはだれなのか。いったい何をしているのか。じつは、いずれも草サッカーに興じている最中で、ゴールキーパーとして試合に出ているのです。
味方が相手陣地深くへ攻め込んでいるのでしょうか、一様にみなのんびりとした、いえもっといえば、かなりだらけた表情と姿勢をしていますね。自分のほうにボールが飛んでくる気配はほとんどなく、守っているゴールを脅かされるような差し迫った危険はなさそう。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/