漢方のオモシロさは人間の心と社会そのもの

漢方医の村上文崇さんが、知れば知るほど奥深い「サブカルチャーとしての漢方知識」を紹介してきたこの連載が、大幅に加筆修正して『読む漢方薬』として本になりました! 書籍化を記念して、書籍よりコラムを特別掲載です。なにやらゆで卵のようですが、なんとも驚きの作り方。漢方って、おもしろいというか、人間っておもしろいですね……!

 cakes読者のみなさま、お久しぶりです。

 私の連載「申し訳ないほどおもしろいサブカル漢方大全」が、このたび、晴れて書籍『読む漢方薬 ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」』として発売されました。

 この連載ではフォローしきれなかった様々な内容や現代の最新漢方事情を大幅に加筆のうえ、漢方の基礎知識についてのコラムなども盛り込み、連載をご愛読いただいていた方にも楽しんでもらえる充実の内容になっています。

 それを記念して、cakesにもプレイバック登場させていただき、本の中からとっておきのエピソードをひとつご紹介したいと思います。

読む漢方薬 ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」
『読む漢方薬 ストレスに負けない心になる「人生の処方箋」』

茶葉で煮だしたゆで卵「茶葉蛋」

 中国には、「茶葉蛋ツァーイエダン」という食べ物があります。

 これはゆで卵の一種です。コンビニでも、街角の小さな駄菓子屋でもスーパーでも売っています。ローカルな路地では路上に置かれた炊飯器で煮られている茶葉蛋を見かけることも珍しくありません。中国では、とてもポピュラーな食べ物なのです。

 茶葉蛋はゆで卵の一種ではありますが、ふつうのゆで卵とは違います。卵をゆでるときに、特殊な煮汁を使うからです。その色は、黒に近い茶色。これは茶葉から出た色です。茶葉の他に何を入れるかについては、それぞれの店に独自のノウハウがあるようです。例えば醤油、クローブやシナモンなどのスパイス、各種漢方薬、砂糖。最近ではコーラを入れる場合もあるそうです。

 煮汁さえあれば作り方は簡単。まず、茶葉を入れた煮汁で卵をゆでます。ゆで上がったら卵をいったん取り出してカラをたたき、ヒビを入れます。それからもう一度煮るのです。そうするとヒビから色がしみ込み、白身が茶色に染まります。もちろん味もしみ込むので、ふつうのゆで卵よりも複雑な味わいになります。茶葉蛋の味に慣れたらふつうのゆで卵では物足りなくなるのです。

 他にも、日本でもおなじみのピータンは籾殻などを混ぜた土を塗りつけて熟成させたものですし、中国では昔から卵にひと手間加えて風味や栄養価を増すという食べ方が一般的だったわけですね。

春の味(?)がする「童子蛋」

 ところで、浙江省の東陽というところには、見た目は茶葉蛋と変わらないけれども、驚愕の作り方をするゆで卵があります。ある人は「春の味がする」と評し、またある人は「考えただけでも吐き気がする」というその食べ物は「童子蛋トンズダン」と呼ばれています。

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申し訳ないほどおもしろいサブカル漢方大全

村上文崇

近年、すっかりメジャーな療法として知られるようになった漢方。生理痛や不眠症など、さまざまな症状に効く伝統的な東洋医学として認知されています。けれど漢方には、知られざるもう一つの顔があるそうで……。養生医学研究協会の会長にして、上海で現...もっと読む

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コメント

cagliostro_alch 単行本化されていたか。早速本屋で探してみよう。そしてオレ様もこれに負けない位のネタを書いていきたい。 3年以上前 replyretweetfavorite

BensongShanghai あ、村上先生、2冊目ですね!買います!→ 5年以上前 replyretweetfavorite

yamadanoima 読む漢方薬は面白そう!〉 5年以上前 replyretweetfavorite

Manjii902 「漢方」社会のど真ん中に住んでいても触れないけどね、「童子尿」wでも気になる一冊だなー 5年以上前 replyretweetfavorite