花にかこまれ 酒でも飲もう
あの子を思って ひとり酒
まあまあ それも悪くないけど
空から 月を呼び寄せて
地面で眠る 影を起こして
さあさあ たまには三人で
月は下戸 影はひかえめ
俺の目は 深い湖 水の色
だけど 飲もうか三人で
俺が歌えば 月もゆらゆら
俺が踊れば 影も舞い
酔いが回れば みんなばらばら
醒めないでくれ もう少し
行かないでくれ 朝焼けに
あの子とは 結べなかった約束を
交わして そっと 別れよう
いつか この身が滅びても
きっと再び 落ち合おう
盃片手 はるか宇宙のかたすみで
「月下独酌」
李白(701~762)