朝井リョウがいま輝いている3つの理由
平成生まれの直木賞作家!
2010年、大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』でデビュー。13年には『何者』で直木賞を、男性作家として最年少で受賞! 快進撃を続ける「若き巨匠」です。
等身大で時代を描く!
スクールカースト、就活など、時代性の高いテーマに鋭く切り込み、同世代から、また周辺世代からも、「次に何を書くのか?」と期待が寄せられています。
この春、ついに大きな決断を。
大学卒業後、3年と1ヵ月勤務した会社を退職。いよいよ執筆活動に専念か、と思いきや、そこにはある事情と心情が……くわしくは、インタビューで!
人間って置かれた場所で最大限怠けちゃう
—— その朝井さんご自身も、現代の文壇においては、まさに「アイドル」的存在といえますよね。
朝井リョウ(以下、朝井) いやいや。バカにしてますか?
—— いや、本当に。彗星のように登場し、学生から社会人になる人生の激動期に、5年で10冊の本を書かれて、しかも、若くして直木賞を受賞して……。文壇の未来を背負っていく存在であることは間違いないと思いますが。
朝井 いやいやいやいや……。でも、5年で10冊というペースは、これが続けば……と思いますね。10年で20冊出て、15周年で30冊出せていれば、胸張っていいのかなと。
—— そしてこの春、会社を退職して専業作家になられたと。
朝井 専業は一時的のつもりです。来年から、時間と労力をこれまで以上に費やすことになるであろう仕事が始まることになっていて。東京から離れたところに仕事場を構えるつもりなので、現実的に勤務ができなくなるんです。だけどそれが終わったら、また兼業に戻りたいんですよね。
—— せっかく創作に専念できる環境になったのに?
朝井 逆に、集中力が途切れがちになってしまって、いま、すごくペースが落ちてるんです。兼業していたときは、常に時間がなくて、赤信号でひっかかるとか、そういうすごく小さなことにも常にイライラしていたんですが、いまはそのタイムリミットがなくなったせいか、2時間でできていたことに、4時間くらいかかるようになってしまいました。
だからいま、何がしたいかっていうと、内職! 「バラの造花を作る」みたいなやつ。タイムカードとか作って、集中力を取り戻したい。タイムリミットが発生するような状況を自主的に設けないと……人間って、「置かれた場所で咲きなさい」じゃないですけど、きっと、置かれた場所で最大限怠けちゃうんだと思います。
—— 職業を持って、社会人としてのベースを保っておきたいということでしょうか。
朝井 そうですね。作家という仕事は本当に虚業というか、何か、詐欺師のようなところがあって……それがすごく辛いんです。精神的に。そのことが、いちばん大きい理由かもしれないですね。
「落ちる」のは、アイドルの宿命?
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