ちょっとした運動が心を安定させる
ネルソン・マンデラが何年も潜伏し、その後何十年も政治犯として収監されていた間、精神的に驚くほどのレジリエンス(立ち直る力)を持てたのは、間違いなく個人の資質によるところが大きいでしょう。
しかし、彼が明晰さとレジリエンスを維持できたのは、独房に閉じ込められていたときでさえ毎日身体を動かしていたおかげでもあると本人は語っています。
マンデラの自伝によれば、彼は刑務所に入っていたとき、月曜から木曜まで長いときは45分間足踏みを続け、腕立て伏せや腹筋運動などの運動もしていました。
「体調がいいときには、仕事もはかどるし、頭もはっきりするので、わたしは、トレーニングを不動の部分として生活のなかに位置づけた」とマンデラは綴っています。
健康の専門家はもっと運動するように長らく万人に説いてきました。
運動の習慣が健康や心の安寧、外見に長期にわたって利点をもたらすことには科学的にじゅうぶんな裏付けがあり、これまで皆さんも嫌というほど聞いたでしょうから、ここでまたくり返すつもりはありません。
これから私がとくにお話したいのは、マンデラがおそらく深く理解していたと思われる教えです。
運動にはすぐに現れる効果があり、その効果はたった1回運動しただけで見られることがあります。
この効果は、心の状態に関係するものです。
少しの運動でも時間を選んで行えば、運動後の数時間にわたって、もっとよく考え、集中力を保ち、考えをはっきりさせ、不安を減らせるのです。
どれも結果を出し続けるために重要なことばかりです。