ツイッター事件のその後

産休を揶揄するツイートをしたせいで、会社で孤立していた草加。美沙は彼との会話を再会して、実際の問題がどこにあったのかを知る。この小説は、ひとりの崖っぷちOLが会社の魂を変えるまでを描く新感覚のビジネス小説です。

「決まっているじゃないですか。皆さんの本性を暴くためです」

坂井は衝撃的発言後、辞去した。取り残された美沙は、しばらく動くことができず、背もたれに深くもたれたまま宙を見やった。

昼休みを促すチャイムが鳴りハッとした美沙は、ようやく重い腰を上げ自席へと戻った。隣の席ではすでに草加が弁当を広げていた。手にはワンピースの最新刊。

ツイッター事件以降、完全ムシを決め込んでいたが、坂井の言葉を聞いた今、草加への同情が湧き上がる。どこまでも単純な女である。美沙は意を決して口を開いた。

「草加くん、ワンピース好きなんだね」

久々に美沙から話かけられ、草加は驚きのあまり全身が数センチ退いた。そして伺うような眼つきで「まぁ」と頷いた。

みんなで坂井に踊らされるのはまっぴらだ。単刀直入に真相を問う。

「草加くんのツイッターネームってルフィだよね? 青山さんの産休のことツイートした?」

「してません」

 えっ? 予想外の返答に驚きのあまり声が上ずる。

「ち、違うの? でも、じゃあなんで何も言わなかったの? みんな草加くんがしたって思ってるの知ってるでしょ?」

「まぁ。実際オレじゃないっすけど、オレも同感だったんで。騒ぎ立てるほどのことじゃないかなって」

ドライな口調とは裏腹に、草加の瞳は潤んでいた。

えっ? 誰かが草加くんを嵌めたってこと? でもいったい誰が……。

坂井の帰社時刻は18時。いつもなら定時に即効で帰る美沙だが、今日ばかりは待つことに決めた。

「坂井部長、ちょっとお話があります。お時間よろしいでしょうか?」

美沙は坂井が戻ってくるなり、静かに詰め寄った。

「わかりました。では5分後に中会議室で」

いつもの中会議室で坂井と美沙は向き合っていた。

「お話とは何でしょうか?」

「青山さんに対するツイッターの件ですが、出元は草加くんじゃありませんでした」

「そうですか」

「そうですか、って。草加くん、無実の罪でみんなに総スカンされてたんですよ。それなのに……坂井部長、申し訳ないとは思わないんですか?」

「私は、社内の女性にあのツイートの存在を知らせただけで。草加くんがツイートしたのだと言ってきたのは浅井さんですよ」

「それはそうですが……。でも、あのタイミングであのツイートをみたら、誰だって草加くんだと思うじゃないですか。アイコンもルフィでしたし」

美沙の真赤になった耳を、坂井の冷たいまなざしが刺す。

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chiponyo 公開されました!|[今なら無料!]キラキラワードに騙されるな! 私たちはやる気をなくす言葉に囲まれている 4年以上前 replyretweetfavorite