未知の分野を学ぶ時は「分厚い本」から読む

「おもしろいから」本を読むのであって、はじめから「功利的に」本を読むことはあまり推奨しないというライフネット生命の出口治明さん。とはいえ、ビジネスパーソンのなかには、「ある分野を勉強するために」本を読まないといけない場合もあるでしょう。そんな方へも、出口さんは処方箋をくれます。 稀代の読書家としても知られている出口さんによる『本の「使い方」』から、その内容を抜粋してお届けします。

新しい知識を整合的に学ぶには、7~8冊の本が必要

 私が日本生命で仕事をしていた時、よくおつきあいをしていた人の中に、ワインが大変好きな人がいました。この人と食事をすると、一方的に「このワインはね……」と、うんちくを聞かされるわけです。

 最初のうちは相づちを打ってやり過ごしていましたが、会うたび、必ずワインの話になる。私もお酒が好きとはいえ、ワインには詳しくありません。

 「ひょっとしたら、つきあいが続く間は、ずっとワインの話題がついて回るのかもしれない」と思った私は「じゃあ、いい機会だから、ワインについて勉強しよう」と思い立ちました。

 私は図書館に行って、ワインについて書かれた本を7~8冊借りてきました。まったく知らないジャンルでも、関連書籍を「7~8冊」も読めば、体系的に、整合的に学ぶことができると思っていたからです。

新しい知識を得るときは、「厚い本」を最初に読む

 7~8冊借りてきたら、次は読み始めるわけですが、本を読む順番が大切です。

 新しい知識を学ぶときには、私は必ず「分厚い本」から読むようにしています。
 厚い本が最初で、薄い本が最後です。

 あくまで一般論ですが、「分厚い本に、それほど不出来な本はない」と私は考えています。なぜなら、不出来な人に分厚い本が書けるとはまず思えないからです。

 分厚い本をつくるのにはお金もかかるので、出版社も、不出来な人にはまず書かせないと思います。分厚い本が書けるのは、力量のある人です。力量のある人が書いた本なら、ハズレの確率は低いと思います。

 それに、薄い入門書は、厚い本の内容を要約し、抽象的にまとめたものです。全体像を知らないうちに要約ばかり読んでも、その分野を体系的に理解することはできません。

 わからない部分があっても、分厚い本を一字一句読み進めていく。
 「これ1冊を全部読み終えたら、いくらかはわかるようになるはずだ」と信じて、それはもう、ひたすら丁寧に読み込みます。すると、4~5冊を読み終える頃には、その分野の輪郭がつかめるようになります。

 このようにして分厚い本を何冊か読んだあとに、薄い入門書に移ると、詰め込んだ知識が一気に体系化されます。目の前の霧がさーっと晴れて、「ああ、わかった。あの本に書いてあったのは、こういうことだったんだ」という感覚を味わうことができます。

 厚い本を先に読み、薄い本をあとで読むのは、たとえて言うなら、「入社直後の上司は、鬼の上司に限る」のと同じことです。

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本の「使い方」

出口治明

注目の経営者(ライフネット生命)にして、稀代の読書家としても知られている出口治明さん。出口さんは物心ついた頃から数えると、これまでに概算1万冊以上の本を丁寧に読み、そして、それを自分の血肉にしています。それがときに、現実社会を生き、働...もっと読む

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コメント

Koma_Studio 自分は厚い本読みつつ、分からなかったら薄い本読むって形かな〜。| 約5年前 replyretweetfavorite

tmg660 自分は逆だなあ。最初に分厚い本だと途中で挫折するので、まずは小・中学生レベルの入門書から入って、興味が続けば次の段階へ。 約5年前 replyretweetfavorite