エイミーったら最先端過ぎ
三省堂書店経堂店のエイミー番長こと大西(以下、大西) 私が勧める前にエイミー(愛するが故の愛称呼び堪忍)って読んでた?
大西に“教育された”三省堂有楽町店の魔女新井(以下、新井) 読んでたよー。
大西 この女子高生が主人公の恋愛短編『放課後の音符』は?
新井 なにこれ見たことない! 最初は1989年かー。
大西 これは角川文庫版だよ。もう品切れだろうけど。
新井 390円って安いな。あっ著者近影が若い!
大西 中学の「国語便覧」に載ってたのって、この写真だったの。山崎豊子の次、山田詠美って。
新井 それは中学生、どよめく。
大西 うん。このビジュアル、わぁお!ってなったのね。それがエイミーを読むきっかけ。
店員さん ペルー、濃い目に出してみました。こちらはブレンドのフレンチです。
~しばしうっとり~
新井 『ぼくは勉強ができない』久々に読み返したら、新鮮だった。こんなんだったかなーって感じ。
あらすじ:「ぼくは思うのだ。どんなに成績が良くて、りっぱなことを言えるような人物でも、その人が変な顔で女にもてなかったらずい分と虚しいような気がする」——時田秀美は17歳、サッカー好きの男子高校生。勉強はからっきしだが、めっぽうモテる。発表から四半世紀、若者のバイブルであり続ける青春小説の金字塔。
大西 私もそれ思った。手触りが当時読んだのと違うね。
新井 単行本で平成5年に出てる。に、22年前か……。
大西 それがなんと今の私たちの感覚にしっくりくることよ!
新井 エイミーったら最先端過ぎ。
大西 『AtoZ』にも主人公の時田秀美くん一瞬出てくるよねー! 当時キャー!!ってなったわ。
新井 えっ、気付かなかった……_| ̄|○
大西 秀美くんはほんと一瞬。秀美ママ・仁子さんは重要キャラ。たまに会社に来る秀美は親子じゃなく恋人に見える、ってさ! “出版社に入るんですか? だめよ、あいつ勉強できないから” からの『賢者の愛』につながるんだよね。
新井 あ”ーっ!!“勉強ができない”の台詞でピンとくるべきだった!『AtoZ』は出版社に入る前の秀美くんが出てきてたのか。
大西 そうそう。『賢者の愛』(2015)には、出版社で働いてる秀美くんが出てきてたでしょ。
新井 しかし、当時は今より古風な人が、世間にいっぱいいたはずだよね。今までになかった価値観を文学で納得させちゃったエイミーってすごい……。
大西 うちら小学生のときに出てるけど、当時はシングルマザーってめずらしかったもんね。
新井 今みたいに堂々と言えない風潮でさ。
大西 秀美のママみたいな女性は、当時だったらふしだらな感じ? でも今なら、恋する美魔女って呼ばれる類だよね。
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