天下泰平の江戸時代が訪れてから、数十年が経った17世紀後半のこと。京都では町衆文化が成熟を見せ、知的な美の世界が一般の人々にも広く浸透しておりました。そんな時代の空気を垣間見られる展示が、東京・六本木のサントリー美術館で開かれています。「着想のマエストロ 乾山見参!」展です。
乾山とは、当代随一の陶工だった尾形乾山のこと。京都を代表する呉服商「雁金屋」に生まれ、20代のうちに隠居した後、大御所・野々村仁清に作陶を学んで陶芸の世界へと入ります。センスに富んだ乾山は、あれよという間に独自の境地を確立し、乾山焼と称される作品を続々と生むこととなります。