巷にはさまざまなリスニングの教材があふれています。中には「ただ聴いていれば英語がペラペラになる!」などといったものも存在しますし、それがまたよく売れていたりするようです。あるいは「12日間ただ聴いていれば英語のリズムと音が聞き取れるようになる」などというものもあります。本当のところ、どのような教材を、どんなふうに使用すると英語が伸びるのでしょうか? あるいは、聴くだけで本当にペラペラになったりするものなのでしょうか?
なぜ聴き取れないのか?
まずどのような教材でどのように学習するかを論じる前に、そもそもなぜ聴き取れないのか?その原因をいくつか挙げてみましょう。
1. 必要な単語や表現方法を知らない
2. 発音と単語が結びついていない
3. 英語の音に耳が慣れていない
4. 「どうせわからない」と思いながら聴いている
5. 集中が続かない・足りない
6. 会話の予測が著しくはずれているため、言っていることが理解できない
7. 頭の中で日本語に変換している
ここに挙げた聞き取れない原因は、どのレベルの英語学習者にもついて回る問題です。みなさんも「ああ、俺は1と3だな」などといったように感じたりするのではないかと思います。ではこれらは英語学習固有の問題なのでしょうか?
実はこれらの多くは、僕らが日本語でも遭遇する問題です。例えば、身内が難しい病気になり、医者に診てもらった。でも先生の説明がよくわからない、などといった場面は日本語でも起こりがちです。この場合には、問題は「先生の使う医学用語がわからない」(1)だったり、グーグルで読んで得た情報(文字情報)と先生の説明(音声情報)が一致できないという(2)の問題だったりします。医学用語のほかに、法律用語なども難しいものですし、IT用語がチンプンカンだ、という人もいるでしょう。そしてそういう話を聴いている時には、「どうせわからない」と思って投げてしまったり(4)、途中で集中が途切れてしまう(5)ということも起こりがちです。また土地が違えば、同じ日本語でもその土地のイントネーションに慣れていないため、簡単なフレーズが聞き取れないこともあるでしょう。(3)
また人間は、あまりに意見が違う人の話を理解できないものです。人間は誰しもある程度相手の言うことを予測をしながら聴いていますから、相手の言うことが突拍子もなかったり、自分の予測から著しく外れていると『はあ????」となってしまうものです。(6)
しかしだからと言って「俺の日本語リスニングはまだまだだ!」などと嘆く人はいません。用語がわからない。漢字の読み方がわからない。この土地のイントネーションに耳が慣れていない、などなど原因が容易に特定できるからです。そして原因がわかっているものは、さほど苦労せずに克服できるものです。
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