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大学を辞めてみたら、そこには夢がなかった。
緑まぶしく蒸し暑い夏、市立図書館まで何度も歩いた。頭の中には確かこんなスケジュールがあったと思う。
朝 勉強
昼 楽器屋でバイト
夜 バーでバイト
深夜 勉強
特に夢もないフリーターである自分が図書館で手当たり次第に本を読むことを、私は「読書」ではなく「勉強」と呼んでいた。そう呼ばなければ自分を許せなかったのだ。歴史、料理、天文学。あらゆる本が棚に分かれて整然と並ぶこの図書館の、どこかにきっと自分の進むべき分野があるんだと、そう信じなければ自分を許せなかったのだ。
2005年、18歳で入学した音大は、入学式の祝辞でこう言われるような場所だった。
「新入生諸君、君たちの中で音楽で食べて行けるのは100人に1人くらいのものだろう」
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