Facebookユーザーの半分以上が死んだ人になるのはいつ?

Facebook上でユーザーの半分以上が死んだ人になるのはいつ?
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Q.

Facebookのプロフィールのうち、死んだ人のものが生きている人のものより多くなることがあるでしょうか? あるとすればそれはいつごろでしょう? ──エミリー・ダナム



生きてる人:「ゲームするんならヘッドフォンしろよ!」 ゾンビ:「無理だよ。耳が取れちゃうよ」 (図中の文字は《キャンディークラッシュ》というゲームの効果音)


A.

2060年代もしくは2130年代だろう。

Facebookには死んだ人はあまりいない*1。その主な理由は、Facebookもそのユーザーたちも、若いことにある。Facebookは、ユーザーの平均年齢こそここ2、3年で上がったが、年配の人よりも若者のほうが依然として使用率が高い。

これまでのユーザー

Facebookの成長率と、Facebookのユーザーの年齢構成が時とともにどう変化してきたかに基づいて推測すると*2、Facebookのプロフィールを作成したあと死亡した人は1000万から2000万人ほどだと思われる。

この死者たちは、現時点では、あらゆる年齢層にわたりほぼ均等に分布している。若者が60代、70代の人に比べ死亡率ははるかに低いにもかかわらず、Facebook上の死者全体に若者がそこそこの割合を占めているのは、Facebookのユーザーには若者が圧倒的に多いという単純な事実ゆえだ。

高齢になったコリイ・ドクトロウが、未来の人々が過去に彼が着ていただろうと想像すると思しき衣装を身にまとって コスプレをしているところ。

未来のユーザー

2013年に死亡したアメリカ人のFacebookユーザーは約29万人と推定される。2013年に世界全体で死亡したフェイスブック・ユーザーは数百万人にのぼると思われる*3。フェイスブック・ユーザーの年間死者数はたった7年のうちに2倍になり、さらに7年経つと、そのまた2倍になるだろう。

仮にFacebookが明日登録を締め切ったとしても、2000年から2020年までの期間に大学生だった世代が年を取るにつれて、年間死亡者数は今後何十年にもわたって増加しつづけるだろう。

死者が生者を上回るようになるのはいつかを決める最大の要因は、死者が増加しているというこの傾向をしばらくのあいだ抑えるに十分速いペースで、生きたユーザー──若者なら申し分なし──をFacebookが新たに獲得できるかどうかだ。

2100年のFacebook

そんなわけで、Facebookの未来について検討してみよう。

私たちは、Facebookがいつまで存続するか、確実なことを何か言えるほどにはまだソーシャルネットワークを経験していない。たいていのウェブサイトは、いっとき急に盛り上がって、その後徐々に人気がなくなってしまうので、フェイスブックもこのパターンをたどると仮定するのは理にかなっていると思われる*4

このシナリオでは、今世紀後半にFacebookが市場シェアを失いはじめ、その後決して回復しなくなる時点、すなわち、Facebookの転換点──死者が生者を上回る日でもある──は、2065年ごろ訪れるだろう。


今世紀後半にFacebookが市場シェアを失う場合のシナリオ。
2065年頃、死者が生存している人を上回る。

だが、そうはならないかもしれない。もしかしたら、TCPプロトコルのように、その上にほかのものがいろいろ構築される一種のインフラのようなものになって、Facebookは不動の支持を得るようになるかもしれない。

もしもFacebookが何世代も使われつづけるなら、転換点は2100年代半ばまでずれ込むかもしれない。


Facebookは不動の支持を得る場合のシナリオ。
2100年代までは生きているユーザーの方が多い。

とはいえやはりそれはなさそうだ。永遠に続くものなど存在しないし、コンピュータ・テクノロジーの上に築かれたものはどれも、急速に変化するのがお決まりだ。10年前には永続的なものと思われたウェブサイトやテクノロジーの残骸が、そこらへんにごろごろ転がっている。

実際の転換点は、この2つの予測のあいだのどこかに来そうだ*5。私たちは成り行きを見守るしかないだろう。

私たちのアカウントの運命

Facebookには、私たちのページやデータをすべて無期限に保存できるだけの金銭的余裕がある。生きているユーザーは常に、死んだユーザーよりも多くのデータを作り出すし*6、頻繁に更新するユーザーこそ容易にアクセスできなければならない。したがってたとえ死んだ(あるいは、まったく更新しない)人たちのアカウントがFacebookのユーザーの大部分を占めるようになったとしても、フェイスブックのインフラ予算全体のなかで大きな割合を占めることはおそらくないだろう。

それよりも重要になると思われるのは、私たちの意思決定だ。これらの亡くなった人々のページを、私たちはどうしたいのか? 私たちがFacebookに削除してくれと要求しないかぎり、デフォルト設定ではおそらく、Facebookはすべてのもののコピーを永遠に保存するだろう。仮にFacebookは保存しないとしても、ほかのデータ吸い上げ組織が保存するだろう。

今では、死んだ人のFacebookプロフィールを最近親者がメモリアル・ページに模様替えして故人の記念にすることができるようになっている。しかし、パスワードやプライベートなデータへのアクセスをめぐっては、まだ「こうすればいい」という社会規範が定まっていない問題点がたくさんある。故人のアカウントにいつまでもアクセスできていいのか? どんなものをプライベートにすべきなのか? 最近親者はメールにアクセスする権利を持つべきか? メモリアル・ページにコメントを書き込めるようにすべきだろうか? 「トローリング(釣り)」や「荒らし」にはどう対処すればいいのか? (「トローリング」は、単に多くの反応がほしいとか、場を荒らして面白がるためだけに、議論の火種となるようなネタを投稿すること。「荒らし」は、サイトに集まる人々が不快に思う妨害行為を頻繁に行なうこと)。人々は死んだユーザーのアカウントと交流できるべきなのか? 死者のアカウントを載せたほうがいいのは、「友だち」が持っているどんなリストだろうか? などなど。

これらは、私たちが目下試行錯誤を重ねて整理しようとしている最中の問題だ。死というものは、これまでも感情を掻き立てる、難しい大きな問題だったのであり、それにどう対処するかについては、それぞれの社会が独自の規範を作ってきた。

人間の生活を形作る基本的な要素は変化しない。私たちはこれまでもずっと、食べ、学び、成長し、恋に落ち、戦い、死んできた。私たちは、これら1組の不変の行為の周辺に、場所、文化、テクノロジーの進み具合に応じて、異なる行動規範を作ってきたのだ。

私たちの前に存在したすべての集団と同じく、私たちも、私たちの独特の活動の場で、これら不変のゲームを行なうにはどうすればいいかを学びつつある。私たちは、混乱に陥ることもある試行錯誤をとおして、デート、議論、学習、インターネットでの成長に関する新しい社会規範を構築しつつある最中なのだ。いかにしてインターネット上で故人をしのぶかについても、私たちはまもなくはっきりさせることができるだろう。

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*次回掲載は6月17日(水)の予定です。



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*1:ともかく、本書執筆の時点では、まだロボット流血革命も起こっていなかったので。

*2:各年齢層のユーザー数は、Facebookの「広告を作成」から知ることができる。ただし、フェイスブックには年齢制限があるために、一部の人々は自分の年齢を偽っていることを考慮せねばならないだろう。

*3:おことわり:これらの予測のうちいくつかで、私はアメリカの年齢層別利用状況のデータを、Facebookのユーザーベース全体に拡張して当てはめた。というのも、国ごとのデータを使って、フェイスブック利用者の世界全体を把握するよりも、アメリカの国勢調査の結果と実際の数を見出すほうが簡単だったからだ。アメリカが世界の理想的なモデルだというわけではないが、「利用者数は今後しばらく増えつづけ、その後頭打ちになるが、若者のフェイスブック利用がフェイスブックの成功・不成功を決める」などの基本的な動向は、ほぼ世界全体で共通だと思われる。現在、国民がより若く、より急速に人口増加している発展途上国では、フェイスブックの利用も急速に飽和状態に近づくと仮定すると、重要なことが起こる時期は数年ずつぐらいずれるだろうが、全体像は、みなさんが期待されるほどには変わらないだろう。

*4:これら人気を失ったサイトは、過去のデータを消去してはいないものと私は踏んでいる。これまでのところ、これは無理のない仮定のようだ。したがって、あなたがFacebookのプロフィールを作成したことがあるなら、そのデータは今なお存在しているだろうし、何かのインターネット・サービスをかつて利用していたが今はもう使っていない人の大部分は、わざわざ自分のプロフィールを消したりしないだろう。このような行動が変化したり、あるいはフェイスブックがアーカイブを大掃除して使われていないアカウントを削除したりしたなら、バランスは急激に、予測できない変化を起こすだろう。

*5: もちろん、Facebookユーザーの死亡率が急激に上昇したなら──おそらく、人類全体の死亡率上昇に伴って──、転換点は明日にも訪れるだろう。

*6:そうであることを私は願っている。

この連載について

全米no.1科学ブログ WHAT IF?

吉田三知世(訳)

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kurvmiiii 生きるっていう不変的な行動の周辺にテクノロジーがあるからこそ、SNS上での死の扱いが難しい、って話が面白かった。 https://t.co/xC5Byl4yuJ 約2年前 replyretweetfavorite

RicaWatanabe1 なるほど〜。 →“@cakes_PR【 5年弱前 replyretweetfavorite

sato_minoru マンガ科学解説『ホワット・イフ?』ちいと気になる.cakes で立ち読み http://t.co/ehnlEzb4ud 5年弱前 replyretweetfavorite

hykw_SF こちらの単行本もおもしろそう。 ・ランドール・マンロー『ホワット・イフ?──野球のボールを光速で投げたらどうなるか』吉田三知世訳 cakesで紹介記事がお読みいただけます。コリイ・ドクトロウが登場(?)してますよ~ https://t.co/XYWcx87zP7 5年弱前 replyretweetfavorite