毎年一人ずつ「ダチ」を増やせ
他人に左右されない生き方とは、別に自分一人で生きていくという意味ではない。第5章でも触れたように、われわれ人間はとても非力だ。他者の力を借りてこそ力を発揮できるのだし、大きな目標を実現することができる。
たとえば、組織には「150人の法則」と呼ばれるものがある。
人間のつくる組織は、構成員が150人までなら団結できるが、それ以上になった途端バラバラになってしまう、という法則だ。
実際、軍隊の戦闘部隊も150人以下で編制されることが多いし、狩猟採集時代の部族でも集落が150人を超えると分裂し、150人以下に収まる単位で生活していたことが遺跡の考証から明らかになっている。
じゃあ、どうして150人以上になると組織は崩壊するのか?
それは人間が集団のメンバーを相互理解できるギリギリの数が、150人だからである。それ以上になると、もう相互理解はできない。逆に「みんなのことを知ろう」という気が失せて、近くの数十人で固まるようになる。
その結果、「意識の統一」や「情報の共有」、「互助の文化」など、強い組織に不可欠な要素がどんどん消えていって、組織としての力を発揮できなくなるのだ。
150人の集団なら200人分の力でも発揮できるのに、200人では100人分の力さえ発揮できない。組織の人数には、そうしたパラドックスが存在するのである。
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