人生に競争などない
いま、多くの日本人は迷っている。
市場原理主義で競争社会を推し進めていくと、格差ばかりが広がっていく。しかし、国民にお金を配って格差を是正しようとすると、今度は借金まみれになって国の将来が心配だ。一部の強者だけが勝ち残る市場原理主義はよくないけれど、かといって借金に頼らず格差をなくす方法もわからない……およそマスコミの論調は、こんなところだ。
しかし、この認識には根本的な誤りがある。
市場原理主義云々の議論は、経済の専門家に譲ろう。ここで問題にしたいのは、もっと基本的な話である。
まず、強い者だけが勝ち残るのは当然の話だ。そして強い者が勝つ限り、そこには格差が生まれる。格差そのものをなくそうとするのは、運動会で「みんなで手をつないでゴール」するような議論でしかない。
なぜ、強い者だけが勝つ弱肉強食が正しいのか?
そこに「ルール」があるからだ。
ビジネスでも、スポーツでも、受験でも、競争は必ずルールに従っておこなわれている。もし、強い者が勝てないルールがあるとすれば、そんなに不公平な話はないだろう。誰の目にも公平なルールがあり、力を発揮した者が勝つという保証があるからこそ、ゲームは成立するのだ。
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