家族無計画

​いつか子供の手を離す勇気

19歳で新米ママになった家入明子さん。儚く無力な我が子を抱いた明子さんを、人生最大の「怖い」が襲います。子供を守るため、2ちゃんねるで育児情報を集め、買い物は宅配を利用しできるだけ外出は控える日々。親の役目にガチガチになったマタニティーブルーの暗闇にさした一筋の光とは?

子供の頃、最も怖かったものは暴走族だった。

実家のある街は田舎だったので、夜中にしばしば家の前を、暴走族のバイクがブンブン言わせながら通り過ぎていった。雷のように威圧的な爆音が本当に苦手だった。道路に面しているうちの庭に、暴走族が大挙して押し入って来て、勝手に集会を始めるという悪夢も何度も見た。

あるとき、気まぐれに夜道を散歩していた私の耳に、どこからともなくブンブンという例の低音が聴こえてきて、またあいつらか、と身構えた。こんな人気のない暗がりで、間違っても暴走族に遭遇してはならない。焦りから足を早めたが、暴走族だと思った音、実は田んぼを住みかとするウシガエルの群れの鳴き声だった。あいつらもまた暴走族と同じように、夜中に人間様の迷惑を顧みず、爆音でブンブンと威圧的に鳴くのである。それ以来私はウシガエルも怖い。

しかし暴走族もウシガエルも、人生の中で出会った怖いものレベルで言えばまだ序の口である。我が人生最大の「怖い」は19歳の頃。長男を出産してから数ヶ月後に、突如としてやってきた。新生児と呼ばれる時期を無事通り過ぎ、検診では保健師さんに「たくさんお外に連れ出してあげてくださいね」なんて声をかけられる。よし、これから我が子は社会という大海原で、少しずつその羽根を羽ばたかせていくのだ……という思いとは裏腹に、私は一時的に、とにかく世の中のあらゆるものが、怖くて怖くて仕方なくなってしまったのである。

変化は日常のちょっとしたことから始まった。

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強く愉しく新しい“家族論”エッセイ、ついに書籍化!

家族無計画

紫原 明子
朝日出版社
2016-06-10

この連載について

初回を読む
家族無計画

紫原明子

「日本一炎上しがちな夫」こと、起業家の家入一真さんと結婚した家入明子さん。現在「ソーシャル主婦」として、家入家独特の育児の話や、夫婦間のデリケートな話題に切り込む記事をブログで発信し、話題となっています。そんな明子さんが、ブログよりも...もっと読む

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コメント

koziseren 家入さんの奥様の連載。 毎回読んでるわけじゃないんだけど、今回のは周りの音も聞こえないくらい集中して読んでしまった。 10ヶ月前 replyretweetfavorite

_daisylily いつか子供の手を離す勇気| 2年弱前 replyretweetfavorite

ino_net 家入家、2ちゃんで育児情報ゲットとかマジですか…?それで病むぐらいなら普通にたまひよでも読んどきなよ…。恐るべし…。 2年弱前 replyretweetfavorite

moeama 「母は強し」ってよく言われるけど、母は子供を産んだ時から、子供と同じように泣きながら強くなるしかないのだ、そんな風に思った。→いつか子供の手を離す勇気| 2年弱前 replyretweetfavorite