松浦達也(以下、松浦) 小沢さんといえば「炊飯器のスイッチを入れてから落ちるまでの間に、すべてのおかずを作りきる男」で知られていますが……。
小沢高広(以下、小沢) それ知ってるの、一部の人たちでは?(笑)
松浦 えー。少なくとも「うめ」ファンの人たちは知ってるでしょう! ていうか、今日は何を作るんですか?
小沢 豚バラと新玉ねぎとわかめの炊き込みごはん!
松浦 聞くだけで、もううまそうなんですけど!
小沢 でもかんたんですよ。ごはん鍋に豚と新玉ねぎをぶちこんで、炊きあがったらわかめごはんの素を入れてザーッと混ぜるだけ。火にかける時間を除いたら、5分でできる品だもの。
松浦 あれ? このガスコンロってごはんモードがついてるの?
小沢 そうそう! これ、専用鍋つきで自動で切れるんですよ。炊飯器いらず!
松浦 いいなあ……。僕もガスの鍋炊き派なんですけど、電話がかかってきたりすると火を落とし忘れそうになるから、うらやましい!
今日の「肉」は
小沢 ところで松浦さん、今日何作るんだっけ。
松浦 とりあえず、cakes的にも牛は焼かないと。あとは鶏でも焼こうかなあって。
小沢 今日は魚や野菜には目もくれず、肉だけで行くんだ。
松浦 まだ書店やAmazonでも地味に『肉ドリル』が粘ってるみたいなので、背中を押してあげないと(笑)。小沢さん、ほかのメニューは?
小沢 あ! そうそう。食べてほしいものがあったんだった。
松浦 ん? これは……コンビーフ……?
小沢 そう! コシヅカハムっていう肉屋のコンビーフ。ちょっと食べてみて。
松浦 へえ……。じゃあちょっと……。って、なにこれ!! 超濃厚なんだけど!! うんまーい!!
小沢 (にやり) これ、ほぐしたコンビーフにバターを和えてるの。それも今日はカルピスバター!
松浦 ぐわあああ(悶絶) ちょ、ちょっと、これごはん必要でしょ!! この脂をごはんの熱で溶かしながら……。
小沢 まだ炊けてない。
松浦 えーっ!? これ、ごはんにちょんと乗せて、醤油を2~3滴落としたい! うわーうわー。
小沢 まあビールでも飲んで落ち着いて(笑)。
松浦 (ゴクゴク) フーッ……。これは背徳感と罪悪感、それにやっちまった感が押し寄せてくるなあ(笑)。でも思い返せば小沢さんのレシピって、給食系男子のときの「大根のバター煮」も含めて独創性が異様に高い。
小沢 そうかなあ。でも理屈が根っこにあるところは松浦さんと似てるかも。
松浦 給食系男子の『家メシ道場』にレシピ提供してくれた「大根のバター煮」のときも「味がしみさせたいから、大根に包丁をもっと斜めに入れて、繊維の切断面を大きくするんですよ」って言われて「そんなこと考えてるのか。すげえ」って驚いた覚えがある。あと「バター好きなんだなあ」って(笑)。
小沢 バターの使い方がいつも邪悪(笑)。
松浦 小沢さん、わりと子どもの頃から外食してませんでした? 小沢さんの食事って、いい意味でバタくさいというか外食っぽさがある気がします。
小沢 どうだろう。でも僕の調理体験の土台は、上野御徒町「デリー」のカレーなんですよ。いまでもオフィシャルサイトでレシピが公開されているバターチキンカレーをつくるくらいデリーは好きですね。
上の似顔絵は、「うめ」の(主に)作画担当兼、小沢さんの奥様兼、ごはんは食べる専門の妹尾朝子さんの直筆(油性マジック)
小沢さんが料理にハマったきっかけは
松浦 その原体験って、何歳のとき?
小沢 小学校5年生くらい。親か親戚に連れて行ってもらったんです。それまでは家や給食で食べるカレーくらいしか知らなかったから、あのシャバシャバのカレーがめちゃくちゃ衝撃的で。しかも、デリーだからうまいわけですよ!
松浦 すでに小5の舌じゃない(笑)。
小沢 で、デリーのカレーを家でもつくろうとするわけですが……。