女の子のお父さんと仲良くなるにはキュウリは必須
『ノルウェイの森』で、ワタナベ君が入院中の緑の父を訪問したとき、なぜか緑の姉がキウイと間違えて買ってくるのがキュウリ。でも、彼は「キウイよりずっとまともな食べ物」と言い、キュウリをのりで巻いて醤油をつけて、お父さんと一緒にポリポリ食べてしまいます。女の子のお父さんと仲良くなるには、お酒よりもキュウリのほうが効果的なんですね。1人でキュウリを食べるなら、『1Q84』の青豆のように丸かじりがおすすめです。あと、『海辺のカフカ』のカフカ少年など、村上作品の登場人物がよく使う表現が「キュウリのようにクール」(英語の「as cool as a cucumber」からきています)。とにかく、ハルキストにとって、キュウリはとってもクールな食べ物なんです。
世の中へ不条理を感じたら ドーナツの穴について考えよう
村上作品の登場人物たちは、暇さえあればコーヒーと一緒にドーナツを食べます(そして、大抵ダンキンドーナツ)。また『羊をめぐる冒険』では 、1枚の羊の写真が大問題になるわけですが、「僕」はその理不尽な成り行きについて悶々とします。 でも、結局「ドーナツの穴を空白として捉えるか、あるいは存在として捉えるかはあくまで形而上的な問題であって、それでドーナツの味が少しなりとも変わるわけではないのだ」と納得します。不条理でも、大好きなドーナツに置きかえれば、 イライラも収まるってわけですね。ちなみに、村上さんご自身はダンキンドーナツが大好きで、同社の日本撤退を非常に残念がっています。ダンキンさん、村上ファンとして、ぜひ日本再上陸をお願いします!
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