人と比べることに意味はない
お金がなくても楽しく暮らすための心がけとして一番大事なのは、「他人と自分を比べない」ということじゃないかと思う。そして他人と自分を比べなくても平気になるためには、「自分の価値基準をはっきり持つ」ということが必要だ。
自分と他人とを比較して、「他の人はもっといい暮らしをしてる」とか「他の人はもっといい物を持ってる」とか考えて劣等感を抱いてしまうと、人並み程度や人並み以上にお金を得たりお金をかけた生活をすることにこだわってしまう。
でも、他人と自分を比べるということはあまり意味がないと思うのだ。僕は、自分と自分以外の人間とは、イヌとかネコとかヤギみたいに違う生き物だと思っている。まあ、ヒト同士だと多少話は通じて意思疎通もできるけど、根本的にはやっぱり一人ひとりが違う肉体を持って全く違うものを見て、違う価値基準で行動しているものだと思う。
種類の違う別の生き物と自分を比べて勝ったとか負けたとかやることは意味がない。例えば「鳥は飛べるけど俺は飛べないから負けてる」とか「自分より屋久杉のほうが長生きだから屋久杉のほうが偉い」とかいうことで悩むのはバカバカしい。それと同じように自分の生き方や価値基準と他の人間の生き方や価値基準は全く違うものだし、他人と自分を比べても仕方ないものだと思う。
何十年か前は、今よりももうちょっと社会の中で価値観のバラつきが少なくて、みんなが当たり前のように結婚したり家を買ったりしていて、社会の大勢がある程度同じ理想や目標を共有できていた。そういう時代は統一された基準を使って他人と自分を比べたりしやすかったから、「勝ち組」だとか「負け犬」みたいな勝ち負けの概念を作りやすかったのはある。
でも今の時代はそういうメインストリームの価値基準というものがだいぶ崩れて、いろんな人間がいろんな生き方をそれぞれするという時代に少しずつなりつつある。そうしたらいよいよ他人と自分を比べる意味はあまりないと思う。
大切なのは、周りに流されずに「自分にとって本当に必要なのは何か」「自分は何によって一番幸せになるか」という自分なりの価値基準をはっきり持つことだ。それとまあ、自分一人だけで周りと違う価値観を持って生きるのも孤独でキツいので、自分とある程度価値観が近い仲間や友人を持つことも必要だ。
たまに親しくもないのに自分の価値観を押し付けてきて「そんな生き方は間違っている」「世の中はそんなものは認めないぞ」とか言ってくる人がいるけど、そういうのはよく分からない宗教の人が「あなたの生き方は我が教の教義に反しているので死後十億年間地獄に堕ちます」とか言ってくるのと同じなので、「ああ、別の宗教の人だな」と思ってほっとけばいい。
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