家族もシェアハウスの一種に過ぎない。

近年、人気を増している「シェアハウス」。他にもSNSなどを通じて、現代では「家族以外の繋がりを求める」という動きが加速しているそう。そのほうが、一般的な「家族」だけでつながる生き方より健全だとphaさんが言う理由とは? 
京大卒の日本一有名な“ニート”、phaさんが提唱する自由で伸び伸びとした生き方。その名も『持たない幸福論』の一部を特別掲載いたします。

家族は血縁関係のあるシェアハウスに過ぎない

 現在僕は友達を集めて東京で五人でシェアハウスで暮らしている。普通の一軒家で、それぞれの部屋を一人か二人ずつで使って、居間・キッチン・バス・トイレはみんなの共同スペースという形だ。

 僕は今三十六歳で、それくらいの年になると「シェアハウスとかじゃなく結婚して家族を作りたいとは思わないんですか」とか聞かれることもよくあるけど、あまり興味がない。別に全く結婚とか家族とかを否定するわけじゃなくて、流れ次第ではありかもしれないとも思う。でも、結局「家族」というのも血縁関係や性的関係を含むシェアハウスの一種に過ぎないと思っているから、家族かシェアハウスかどちらかを選ぶというものじゃないと考えている。そのとき誰と仲がいいかとか誰と一緒に活動をしているかとか、そのときどこに住みたいと思っているか、という状況次第で一緒に住む相手を決めるというだけの話だ。

 そもそも僕は小さい頃から家族というものがあまりピンと来なかった。虐待とかされるようなひどい家で育ったわけじゃないけど、家族とはあんまり気が合わなかったし、なんとなく「家」という空間は閉塞感があってあまり好きじゃなくて、自分一人で自由に暮らしたいな、という気持ちが小さい頃からずっとあった。

 それで僕は十八歳のときに家を出て学生寮に入った。家を出るのは最初は不安もあったけど、実際出てみるとやっぱりすごく解放感があって、なんか初めて自由に息ができたような気がした。年が近い仲間と共同生活をするというのが楽しいということを覚えたのも寮だった。まあ、ひたすらダラダラと麻雀を打ったりゲームをしたりしてただけなんだけど。家族っていうのは密で親密な関係だけどその分息苦しいところもあるし、それよりも寮のようなオープンでゆるくたくさんの人が集まっている空間のほうが自分に合っていたんだと思う。

 あと、僕が入った寮は自治寮といって「寮のことは寮生が自分たちで決める」というルールの寮だったので、自分たちが生活する場所の運営方法について話し合って決めるという経験をたくさんした(誰を入寮させるかとか、事務室の当番や食器洗いの当番をどう回していくかとか)。自治寮の生活は「誰かから与えられたものをお客様として受け取るだけじゃなく、自分たちの居場所を自分たちで話し合いながら作っていく」ということについて学べる良い体験だったと思っている。

 寮を出てからは一人暮らしをしたこともあった。一人暮らしの生活は、たまに女の子と仲良くなったときに自由に部屋に連れて来られるのとかは良かったけれど、僕はそんなに男女付き合いが得意なほうでもないからそういうのに縁がない期間のほうが長くて、そうしたら一人で暮らしててもあんまりメリットがないな、と思った。

 一人暮らしだと家に帰っても真っ暗だし、寮生活のように突然何か面白いイベントが起こるようなこともなくて、つまらなかった。イベントって言っても大したものじゃなくて「誰かが大量にカレーを作った」とか「友達を連れて来た」とか「面白い漫画を買って来た」とかその程度のものなんだけど。なので、また寮に入ってた頃のように適当な仲間を集めて暮らしたいなという気持ちが高まってきて、ニートになって上京した後の二十九歳のときにギークハウスというパソコンやインターネットが好きな人が集まるシェアハウスを始めたのだった。家はネット上の知人がたまたま空いている部屋を持っていたので貸してもらった。

 もちろんシェアハウスだって一長一短で、「一人暮らしのように寂しくない」とか「生活費が安く済む」とかはいいところだけど、「プライバシーを保ちにくい」とか「たまに同居人にイラッとする」などのデメリットもある。でもまあ、一人暮らしにもそれほど惹かれないし、お金がないから生活費が安く済むのはありがたいし、おおむね今の生活には満足している。家に帰って友達がいると寂しくないし、誰かと一緒にごはんを作ったり食べたりは楽しいし、一人でワンルームマンションとかを借りるよりも安くて広い家に住めているし、家で友達を集めて飲み会をしたりするのも一人暮らしよりもやりやすい。自分一人だと知ることがなかったような本や音楽やゲームなどが自然に家にあるのも良いところだ。

 一人暮らしが寂しいならシェアハウスじゃなくて結婚とか家族とかで共同生活をするというルートももちろんあるけど、僕は基本的に怠惰で貧乏なので、結婚とか家族とかはなんだかんだでお金かかるしあれはお金に余裕のある人向けの贅沢品だな、という感じがしている。あと、結婚とか家族とかいう仕組みは、若干今の時代に合っていないというか、少し効力が切れてきているんじゃないかということも思う。

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持たない幸福論

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本当に働かないと、家族を作らないと、お金がないと、幸せになれないのでしょうか。京大卒の日本一有名な“ニート”、phaさんが提唱する自由で伸び伸びとした生き方。その名も『持たない幸福論』の一部を特別掲載いたします。

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コメント

miss_proton わかる。わかる。 https://t.co/51UGkgZerh 1年以上前 replyretweetfavorite

MonkeyMonk4 至言→"シェアハウスじゃなくて結婚とか家族とかで共同生活をするというルートももちろんあるけど、僕は基本的に怠惰で貧乏なので、結婚とか家族とかはなんだかんだでお金かかるしあれはお金に余裕のある人向けの贅沢品だな、という感じがしている" https://t.co/X0Te2LAbWK 約2年前 replyretweetfavorite

toyoshi 自分のお金や子供の命を他人に預けられる信頼・契約関係を結婚制度以外で作れるんだろうか。すでに実験されてそうかな? 約2年前 replyretweetfavorite