僕たちは、キリリと冷えたシャンパンで乾杯した。
「玲子さんについて、何か面白いこと教えてよ」
すこし沈黙してから、玲子は僕の目を見つめて言った。
「じつはね、私つきあってる
ディナーは序盤戦から山場を迎えた。つきあってる男がいるって? これは彼女が僕を拒絶しようとしているのか? そして、僕は引き下がり、彼女とお友だちでいようとすればいいのか?
ノー、ノー。
いい女が男なしで過ごすことはない。
彼女たちは、次のよりいい男を完全にものにするまでは、いまの男を確保しておく。だから、男がいる女にアタックできないのだったら、ずっと並の女で我慢するしかない。そして、ある程度以上の女に関していえば、男がいるほうが、すぐにセックスに応じる確率は高くなる。なぜならば、将来の結婚相手としての男の資質を細かくチェックする必要がないからだ。今夜、僕といっしょにいれば、めくるめくセックスが楽しめるということをわからせてあげれば、それでいい。
「さっそく僕に恋の相談?」
僕は余裕の笑顔で受け流す。
「そんなわけじゃないけど……」
「玲子さんがどんな
話を聞くと、どうやら同じ会社の男とつきあっているようだ。玲子は、自分の彼がいかに優秀で、会社の出世頭だということを話しはじめた。
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