5月第3週の主なできごと
・KDDI 営業益が初のドコモ超え(5月12日)
・ゼンショー 最終赤字111億円(5月12日)
・三井住友あいおい生命、契約者情報76万件紛失(5月13日)
・ヨン様 今秋、韓国人女優と結婚(5月14日)
・ピース・又吉 三島賞僅差で落選 選考委員から賛嘆の声(5月14日)
官邸ドローン事件、存在感の薄すぎたテロリスト
速水健朗(以下、速水) 今回はドローンをテーマにしよっか。
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 首相官邸の屋上でドローンが見つかった事件がありましたね。
速水 テレビの報道局も最初は「いたずらでしょ?」くらいの扱いだったんだけど、放射性物質が入ったペットボトルを搭載していたことで一気に「テロ!?」ってムードになったみたい。「一般人では入手困難なセシウムをどうやって入手したんだ!?」って。まあ、犯人は除染された廃棄場所の土を詰めただけだってブログに書いてるんですけど。
おぐら 犯人は後日、福井県警に自首して威力業務妨害罪で起訴され、その後の取り調べで「デモ以上、テロ未満の方法を考えた」と供述していたそうです。
速水 これって罪の意識から自首したわけじゃないと思うんだよね。おそらく、自分がしかけたテロに、誰も気づいてくれなかったから。ブログでテロの準備の話から犯行計画まで赤裸々で書いていたのに、誰も彼の行動に気づかないもんだから、しびれを切らして自首したくらいの感じだと思う。
おぐら 時系列でいくと、犯人がドローンを飛ばしたのが4月9日で、発見された4月22日まで13日間も放置されていました。そもそも4月9日を選んだのは、12日に行われた、容疑者の住む福井県の知事選を混乱させるためだったのに、発見がまさかの選挙後になってしまったという。容疑者も自身のブログで「遅せーよ職員!」「2週間放置て・・・」と嘆いています。
速水 「ドローンを使えば注目されると思った」って言ってるので、攻撃という意図よりも注目を浴びたかったのは確か。存在感が薄いテロリストって、そもそも職業適性がなさ過ぎでしょ(笑)。
おぐら しかも、まだ事件から1ヶ月なのに、その後まったく話題になってないですよね? 目立ちたかった本人の思惑とは正反対の結果になっちゃった。
速水 この事件の本質はそこだと思うんだよね。いまやすっかりドローン少年にお株を奪われてしまっているよね。
おぐら 圧倒的にノエルくん(15歳)の方が話題になってますよ。
速水 もともと川崎の中学生殺人の「カワサキ国事件」で、容疑者の少年の自宅前でニコ生配信して全国区の話題になったというだけで留まらず、その後の活動がすごくアクティブ。善光寺でドローンを墜落させて騒ぎになり、直後に皇居、国会議事堂周辺でドローンを飛ばそうとしたところを警察に注意を受ける。
おぐら その後、浅草の三社祭でもドローンを飛ばそうとして、さらに有楽町駅前でもニコ生放送を始めたところを警察に止められた。
速水 もう完全に警察に密着マークされている。でも彼は、警察相手に「任意ですか? 任意同行なら拒否します!」とまったくひるまないのがすごい。さすがにやり過ぎたか、結局捕まっちゃったけど*1。
*1 5月21日、警視庁は威力業務妨害の疑いでノエルくんを逮捕し、自宅からドローン一機とパソコンなどを押収。本人は「飛ばすとはひと言も言っていない」と容疑を否認している。
セルフブランディング時代に立ち遅れたロスジェネ世代
おぐら 「ドローン少年」ことノエルくんにはスター性があり、一方で首相官邸ドローンの男は誰も関心を持たない。その違いってなんなんですかね?
速水 まずは年齢だよね。ノエルくんは「少年」って呼ばれることからわかるように15歳。「官邸ドローン中年」は39歳だっけ。
おぐら あとノエルくんは人気ニコ生主、官邸ドローンの容疑者は過疎ブログ。このSNS時代とは相性が悪いというか、対応できていない感があります。
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