採用を決めるのは「自分の言葉」を持っているかどうか—森川亮インタビュー【後編】

前編では、クリエイティブな組織づくりのキーワードは「野生」と「人」の2つを挙げた、元LINE代表の森川亮さん。後編では、さらに「人」の部分に踏み込み、LINEでの評価制度や採用の秘訣についてお話してくださいました。森川さんの考える「いい人材」とは? そして、世の社長がやるべきたった2つの仕事とは? 

評価は「いる人材か、いらない人材か」のみ

— 会社ってだいたいはじめは少人数だから、みんな自分の持ち場でそれぞれ仕事をする、というふうに始まります。でも、だんだん会社が大きくなって、組織を運営していこうとすれば、そのうち「評価」が必要になるフェーズに入ってくる。でも評価って、面倒ですよね。

森川亮(以下、森川) そう。評価って、する方もかなりの時間もとられますからね。

— 森川さんの場合、評価システムは、どういう基準でつくりましたか?

森川 やはり、結果ですよね。あとは周りの評価です。同僚や上司など、だいたい5人から評価してもらいます。評価の観点はシンプルで、「この人はいなきゃいけないか、いなくてもいいか」。

— いやあ、身も蓋もないですよね。でも、チームの本質です。

森川 みんなが「いなくてもいい」って思っていたら最悪でしょう。そういうときは改善を求めるか、最悪の場合、やめてもらうこともあるかもしれません。ちなみに、社長も例外ではなくこの観点で評価されます。

— ええっ!?

森川 全然成長していないとか、人の気持ちが分からないとか。そう評価されたときには、さすがに一日凹みましたけど(笑)。

— あはは。それ、本人も見るんですか。

森川 もちろんです。そうしないと改善できないし、次に活かせませんから。

— 社長に「人の気持ちがわからない」と直言できる社風はすごいですね。ところで社風といえば、ベンチャーでよくあるのは、ビジョンに向かってみんなでうわーっと突き進む姿だと思うんです。でも、LINEはそうはしたくなかったと本にありましたが。

森川 ええ。「ビジョンは持たない」、「目標はあっても打ち出さない」と決めていました。

— 同時に、本の中では、「情熱が大事」とも語られています。では、ビジョンや目標を言語化せずに、どうやってみんなの進む方向を揃えていくのでしょうか。いま、経営者としての僕が、いちばん興味があるところなんですけど。

森川 なるほど。私なりの考えをお答えすると、一般的な会社の仕組みって、社長の自己満足が多いと思うんですよ。ビジョンを壁に貼るとか、唱和させるとかね。僕は一般社員の時代が長かったので、正直面倒くさいなと思っていて(笑)。それでも、社長になったときはそういう「社長らしいこと」をやろうとしたんですけど……。

— あ、やろうとしたんですか!(笑)

森川 ええ。でも、社員から猛反対されました。「そんな時間があったら仕事させろ」って。もちろん、ひとつの方向にまとまることに意味があるときもあるでしょう。ただ、その舵を切るのは、社長の言葉ではない。社員たちの、マーケットに対する危機感であるべきです。危機感を持っている人が集まっていれば、自然とあるべき姿に変化するはずですから。

— それもサバンナ的な価値観なのかなあ。でも、明確な目標がないと、十人十色のさまざまな危機感を持って、組織としてのまとまりがなくなってしまいませんか?

森川 いえ、それが大丈夫なんです。お客様のことだけ考えていれば、一見ばらばらな意見が出ても、結果的にいいものが生み出せます。

サービス批判をする人を採用せよ
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シンプルに考える

森川亮

LINE株式会社で代表取締役社長として、世界数億人のユーザーに利用されるグローバルサービスに育て上げてきた森川亮氏。15年3月に代表取締役社長を退任し、顧問に就任した。そんな氏が仕事の流儀をはじめて明かした著書『シンプルに考える』が5...もっと読む

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コメント

harada 以前もご紹介した記事ですが再度。 ダメな組織は必要のない人を引き上げようとする。 組織も人も千差万別、適合するしないは、向き不向き、好き嫌いと同じもので、無理やり調整するものではない。... http://t.co/lZPQboFiXa 2年以上前 replyretweetfavorite

ntatsuya19 “受け身の人は、人を幸せにしようと思う力が弱い” 2年以上前 replyretweetfavorite

SiouxsieQ5 |シンプルに考える|森川亮 @moriakit |cakes(ケイクス) https://t.co/9Ua0f80sH5 2年以上前 replyretweetfavorite

harada https://t.co/kZdaHhOiXc "僕がいちばんまずいと思っているのは、多くの企業はだめな人にフォーカスして、だめな人を「よくしよう」とすることです。でも、本来そういう人は「いない方がいい」わけで。"... http://t.co/bAdBlWXWVw 2年以上前 replyretweetfavorite