クリエイティブな組織作りの秘訣は「野生」があるかどうか—森川亮インタビュー【前編】

この3月末をもってLINE株式会社のCEOを退任し、あたらしい動画メディア「C CHANNEL」を立ち上げたばかりの森川亮さん。2007年のNHN Japan(現LINE)社長就任以来、8年間にわたって組織を経営してきました。5月29日に発売される初の著書『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)では、その知られざる「仕事の流儀」や「経営哲学」が、余すところなく明かされています。今回はピースオブケイク代表・加藤貞顕が、読者代表として、そして後輩経営者代表として、どのようにしてクリエイティブな組織をつくっていくべきか、経営者の仕事とは何なのか、その原理原則についてうかがいました。

人生をマネージするために、退任を決めた

— 新刊『シンプルに考える』、読ませていただきました。とても面白かったのですが、会社を立ち上げて4年目の新人経営者として非常に身につまされるところが多かったです。

森川亮(以下、森川) ははは、ありがとうございます。

— 今日は、この本に書かれていることをもとに、みなさんが聞きたそうなことと、僕自身が経営者として知りたいことを伺っていきたいと思います。まずは、率直に。LINE事業が絶好調だったのに、会社を辞めることにしたのはなぜでしょうか?

森川 ハンゲームジャパンからNHN JAPAN、LINEと社名こそ変わってきましたが、僕も実質12年、同じ会社にいたことになります。そのうち、社長が8年。そろそろ新しいことを始めるタイミングかな、と素直に思えたんですよね。

— 今回の決断もそうですが、森川さんは職歴がかなりユニークですよね。33歳のときに日本テレビを辞めてソニーに飛び込み、その3年後にはハンゲームジャパンへ転職されています。転職のたびに収入が半分になったと書かれていましたが。

森川 そうですね。あ、今回は5分の1くらいになりました(笑)。

— あはは、そうなりますよね。でも、やっぱりみんな疑問だと思うんですよ。日本テレビもソニーも、日本では有数の有名企業です。どうしてこうもキャリアを「捨てる」という選択ができるのでしょうか。

森川 今までの人生を振り返ると、自分が一番つらいときに一番成長しているんですよね。人って、うまくいっているときやちやほやされているときには、まったく育たないものです。いかに自分の人生の「ラク」と「つらい」をマネージするかが重要だと思っていて。だから捨てることに躊躇がないんです。

— では、今回の起業は、まだまだ成長しようという森川さんの決意表明でもあるんですね。

森川 ええ。人間、成長しないと意味がないですから。

クリエイティブの肝は「野生」

— 個人的に、僕はこの本に書かれていた「クリエイティブな仕事とオペレーションの仕事を切り分ける」というお話が興味深かったんです。クリエイターは、往々にして自分のつくったプロダクトに情があるじゃないですか。編集者もそうですけど、情があるからこそ最後まで面倒を見たくなる。オペレーションにまで責任を持ちたくなる。

森川 うん、そのとおりです。でも、成功体験や「過去つくったもの」にすがっていては、新しいことに挑戦できません。次の価値を生み出すことに集中してもらうためには、この二つの仕事を分ける必要があったんです。

— 守りに入らせないために、あえて分離させる。これって口で言うのは簡単ですけど、普通の会社ではなかなかできないことだと思うんです。ちなみに、森川さんはどちらのタイプですか? クリエイティブと、オペレーション。

森川 強いていえばクリエイティブのほうでしょうか。というか、そうでないといけないな、と思っていました。

— ほう。というと?

森川 日本人は何かを作ると磨き上げるのが好きですよね。でも、「つくる」ことに費やす1時間と「磨く」ことに費やす1時間では、提供できる価値がまったく違います。だから経営者は、どちらもできる必要がある。ぼくは、クリエイティブな人間であろうと意識していますし、そういう組織を育てようと心がけていました。

— そのクリエイティブな組織の育て方なんですよね、難しいのは。

森川 難しいです。そこで何よりも意識していたのは、「そこが野生であるか」。

— 野生?

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シンプルに考える

森川亮

LINE株式会社で代表取締役社長として、世界数億人のユーザーに利用されるグローバルサービスに育て上げてきた森川亮氏。15年3月に代表取締役社長を退任し、顧問に就任した。そんな氏が仕事の流儀をはじめて明かした著書『シンプルに考える』が5...もっと読む

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コメント

hoshina_shinoda つらいときに成長する。うまくいっているときは、まったく育たない。LINE社長をやめてC Channel... http://t.co/coYSW7M3NP 約4年前 replyretweetfavorite

yuj31415 なるほどねー。勉強になる。 "いかに野生的な、つまり自然な環境をつくれるかが経営者の手腕です。ちょうど、サバンナのイメージですね。競争が厳しく、働くみんなが生き残るために常に緊張感を持っているような。"... http://t.co/IBwthjlOHs 約4年前 replyretweetfavorite

ayaatagrica 野性味がないと惚れない。ヒトも、モノゴトも。並行して、優雅さや品も必要。 http://t.co/LdmsvVH1ao 約4年前 replyretweetfavorite

editoryokota いい話だなぁ、と思ったら構成は奥さんだった。すみません! 約4年前 replyretweetfavorite