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ゲーム脚本家が伝える技術力よりも大切なこと

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今回ご紹介するのは、
「アライコウ」さんのコラム、「我いかにしてゲームシナリオライターとなりしか」

ゲームが好きな方なら、一度は「シナリオライター(脚本家)」に憧れを抱くことがあるのではないでしょうか。では、どうすればその職業に就くことができるのか?

「ゲーム会社に就職する」でも「会社員とシナリオライターの二足わらじ」でもない、「フリーライター」の道を選んだアライコウさんが、ゲームシナリオライターになるうえで技術力よりも大切だと考えていることとは?

以下、noteより転載です。


我いかにしてゲームシナリオライターとなりしか

どうすればゲームのシナリオライターになれるのか。

 ベストアンサーは「ゲーム会社に就職すること」になるだろう。最初はメインを任せてなどもらえないだろうが、頑張って下積みをすればいつか書かせてもらえるはずだ。セカンドベストは「他の職業に就きつつ、プライベートの時間に書いてどこかに持ち込む」だ。世の中、会社員とシナリオライターの二足のわらじを履いている人は珍しくない。

 私は、このいずれでもなかった。参考になるかわからない、いやきっとならないだろうが、どうやってシナリオライターになれたか、その経緯について書いてみようと思う。

 私は大学卒業後、いきなりフリーライターとして活動を開始した。……参考にならないという第一の理由がこれだ。はっきり言って無謀である。実は私は就職をしたことがないのだ。親を安心させるためにも、とにかくまずは職に就こう。

 当初は主にWEBのリプレイ小説を手がけていたが、原稿料はたいしたことがない。他の仕事も思うように見つからず、自然と時間をもてあましていた。そこで私は、同人ノベル・アドベンチャーゲームのレビューというものを日課にしていた。

 そもそも私が創作を志したのも、同人ノベルゲームの金字塔『月姫』に影響を受けたからである(同じような人は、ものすごく多かった)。自分で作るだけでは飽き足らず、多くの同人ノベルゲームをプレイするようになった。そしてレビューを書くのだ。それらをアップしては、自分と同じ愛好家の参考にしてもらったり、制作者からのお礼のメールをいただいたりして、ちょっとした充実感を得る。一銭にもならない趣味である。そんな暇があるなら他の仕事を探せと言われたら、まったく反論のしようもない。それでも当時は、同人ノベルゲームがかけがえのない趣味だった。現在は忙しくてほとんどプレイする暇もなくなってしまったが、名も知られぬ良作をプレイしては感想をしたためるという活動が、私のクリエイターとしての礎になっていることは間違いない。

 さて、時は2007年。プロのクリエイターが同人ゲームを作るというのも、すでに珍しいことではなくなっていたが、とある大物クリエイターが参戦した。

 学園ホラーの大傑作『学校であった怖い話』(以下、学怖)を生み出した飯島多紀哉氏(旧ペンネーム:飯島健男)である。しばらくゲーム業界を離れていた彼だったが、突如として復活。しかも同人ゲームで新しい学怖をリリースするというのだ。学怖は私にとって、5本の指に入るほど思い入れのあるノベルゲームだった。飯島氏の、そして学怖の復活に私は狂喜乱舞した。ファンメールを送ったのも当然の流れだった。
 その後、飯島氏が経営する株式会社シャノンからメールが来た。なんと、私に開発中のゲームのシナリオを一部担当してほしいというのだ。実は最初のファンメール以降、私はずいぶん好感を持たれたようで、彼らの学怖同人誌への寄稿を依頼されたりしていた。このゲームシナリオ執筆も、その流れから来るものだった。私は二つ返事で引き受け、楽しく執筆させてもらった。そのタイトルは『送り犬』。残念ながら現在はドコモのガラケーでしかプレイできないが、スマホに移植したらきっとヒットするだろうと思う。

 以上が、初の商業ゲームシナリオの仕事をゲットした経緯である。一度実績を作れば、他のシナリオライター募集に応募する際も、だいぶやりやすくなる。私は目標だったゲームシナリオライターとして、少しずつ実績を積み重ねることができた。

 結局、私がシナリオライターになれたきっかけはなんだったのか。それは、開発者にファンメールを送るほどに、思い入れの強いゲームがあったということだ。もちろん、メールを送ってアピールすれば仕事をもらえるかも、などという打算はなかった。「こういう人になら任せてもいい」と評価していただいたことが大きかったのだ。

 ゲームシナリオライター志望者のみなさん、シナリオの技術力はもちろん大事だけれど、もっと大事なことはゲームのプレイヤーであり続けることだ。「この人は本当にこのジャンルが好きかな?」「うちのゲームを知っているかな?」ということを相手は見ている。


転載元:アライコウ「我いかにしてゲームシナリオライターとなりしか」(2015/05/13)


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kasuga317 送り犬プレイしました(゚∀゚) 約3年前 replyretweetfavorite