フランス人が料理について知っていること

パリの2つ星レストランで1年間修行を積んだマイケルのエピソードを見てきた本連載。今回は、料理に使う道具から、心構えまで、マイケルが学んできた料理のおきてを一気におさらいします。これを読めば、料理上達の足がかりになるかも? フードジャーナリストのマイケル・ブースによる最新刊、『英国一家、フランスを食べる』の一部をcakesで特別にお届けします。

フランスでの修行で学んだ料理のポイント


写真:MIchael Booth


ここまで書いたことをふり返るうちに気がついたのだが、この本から僕に関することと僕が考えたことを全部とっ払うと、一種の声明書というか、料理のおきてみたいなものになる。

主なポイントを、ここにまとめておこう(なんでまっ先にここを読まなかったんだろうと後悔することまちがいなしだ)。

*シンプルにこだわらず、複雑なこともときどきは試してみよう。いまはたしかにシンプルな料理がはやりだが、そんなのいつまで続くかわからない。複雑な料理が見直されればいいのにと、僕は思っている。食べものをいい意味でもっといじってほしい。もちろん、網脂やキャベツでくるんだ料理を毎晩つくれだなんて言わないし(一生に1度で十分だ)、自己満足のこだわりでも困るが、たとえばよいフォンでつくったよいソースをかけるだけで、シンプルに軽く料理した良質の肉や魚がレストラン級になるし、きめ細かくなめらかなジャガイモのピュレはいつだって嬉しいものだ。

*はっきり言うが、よい料理はあっという間にはできないし、シンプルにはつくれないことがほとんどだ。10分で食卓に出せるような料理は、おいしくないか、ただのサラダ—しかもあまりよくないサラダ—に決まってる。よい料理をつくるには努力が必要だが、料理に努力の跡が見えてはいけない。シェフは白鳥のように、水面下ではどんなに激しくもがいていても、水面に浮かぶ姿は優雅でなくてはいけない。

*分子ガストロノミーはたしかにすばらしいし、魅力的でおもしろくて気が利いている。だが料理のルールを破るには、まずそのルールをしっかり学ぶ必要がある。そうじゃないとケガをしたり、ブロッコリーのアイスクリームを食べるはめになる。それに学者ぶったことを言うようだが、どんな料理も分子を再構築するからには、「分子」料理と呼べるんじゃないのか?

*鍋にこびりついた茶色いエキスはただのおまけでもないし、洗いものの敵でもない。世界最強のうまみ調味料のひとつだ。うまいソースをつくりたいなら、鍋をこびりつかせることを目標にしよう。

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英国一家、フランスを食べる

マイケル・ブース

イギリス人フード・ライターが、家族を引き連れて日本に100日にわたり滞在。各地を訪ねて日本料理を食べ尽くした異色のエッセイ『英国一家、日本を食べる』。アニメ化も果たした同作の著者マイケル・ブースの新作の舞台はフランス。なんと一流の料理...もっと読む

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コメント

medi0918 納得したり、同意したり、感心したり……で、最後の方はいっそ清々しい。  4年以上前 replyretweetfavorite

hirarisa_R 「中古車並みの金額を払ってでも食べる価値のある料理がある。」 |英国一家、フランスを食べる|マイケル・ブース https://t.co/ehcccACKNV 4年以上前 replyretweetfavorite