※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。
「私、脱がなきゃいけないお仕事だなんて聞いてなかったです……」
そう言って涙ぐむ女の子をまさか、現実で見ることになるとは思ってもいませんでした。
2010年ごろ、私は撮影会や雑誌グラビアなど、いわゆるアイドル系のお仕事をしていました。事件が起こったのは、40人ほどのアイドルが集められた、ある撮影でのことでした。あたりさわりのない撮影が終わった後、アイドルたちは共同の楽屋に集められ、こう言われたのです。
「それじゃ、次は水着で撮っていきま~す」
私は特に驚きもしませんでした。
事務所からちゃんと『水着撮影もある』と聞き、了承していたからです。なのでレンタル水着として並べられたビキニには手をつけず、持参の水着にサラッと着替えました。それから鏡に向かってお尻を突き出し、無駄なホクロやなんやらにコンシーラーを叩き込む私に、ある現役女子高生アイドルの子がおずおずと話しかけてきたのです。
「あの……おりものシートとか、持ってらっしゃいませんよね……?」
恥ずかしそうな、今にも泣きそうな声でした。
当時23歳、集められたアイドルの中で最年長だった私は、仕事モードでお局様キャラを装いながらこう答えました。
「ないわね。あなた、アンダー(※)持ってこなかったの?」
※撮影時、水着の下に着用する下着
「持ってないです……だって、私……」