芸能界でふりかざされる「プロなら脱げるはず論」

牧村朝子さんが生活や実体験から考えたことをつづるエッセイ、今回は牧村さんがアイドル系の仕事をしていた時に本当に経験した芸能界の舞台裏について。「プロなら脱げるはず」と言ってアイドルに脱ぐことを強要する業界人たちに激しい怒りを感じた牧村さん。芸能界のみならず、上から目線での無茶振りはよくあることですが、こういった要求にはどのように対応すればよいのでしょうか。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

「私、脱がなきゃいけないお仕事だなんて聞いてなかったです……」

そう言って涙ぐむ女の子をまさか、現実で見ることになるとは思ってもいませんでした。

2010年ごろ、私は撮影会や雑誌グラビアなど、いわゆるアイドル系のお仕事をしていました。事件が起こったのは、40人ほどのアイドルが集められた、ある撮影でのことでした。あたりさわりのない撮影が終わった後、アイドルたちは共同の楽屋に集められ、こう言われたのです。

「それじゃ、次は水着で撮っていきま~す」

私は特に驚きもしませんでした。

事務所からちゃんと『水着撮影もある』と聞き、了承していたからです。なのでレンタル水着として並べられたビキニには手をつけず、持参の水着にサラッと着替えました。それから鏡に向かってお尻を突き出し、無駄なホクロやなんやらにコンシーラーを叩き込む私に、ある現役女子高生アイドルの子がおずおずと話しかけてきたのです。

「あの……おりものシートとか、持ってらっしゃいませんよね……?」

恥ずかしそうな、今にも泣きそうな声でした。

当時23歳、集められたアイドルの中で最年長だった私は、仕事モードでお局様キャラを装いながらこう答えました。

「ないわね。あなた、アンダー(※)持ってこなかったの?」
※撮影時、水着の下に着用する下着

「持ってないです……だって、私……」

そこまで言いかけるとその子は、私に別のフロアの女子トイレまで来るよう頼みました。
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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

hyakutaro_k 「どっちが上とか下とかに気を取られ、それぞれが前を見られないようじゃ、絶対にいい仕事なんかできないじゃない!」 ⇨ 3年弱前 replyretweetfavorite

matzi295 あるある。芸能界に限らず。聞いてねーよ!ってこと腐るほどある。 約4年前 replyretweetfavorite

arikuiaruku "「仕事をやらされる」状態を甘んじて受け入れてこそプロ"これ!!!分かる!!!|女と結婚した女だけど質問ある?|牧村朝子 @makimuuuuuu |cakes(ケイクス) https://t.co/mVDA5i5Tf6 4年以上前 replyretweetfavorite

K_MUMMY これが最近の1番ヒット。キラキラ搾取とやりがい搾取。労働のことばっかり考えてるな私 4年以上前 replyretweetfavorite