ダイエットに「意志の力」は関係ない

ダイエットでやるべきことはわかっていてもなかなかできない、続けられない……それが難しいところです。けれど、予防医学研究者の石川善樹さんは、ダイエットには「意志の力」がほとんど関係ないと言います。また、歳をとるだけで太りやすくなってしまうという恐ろしい事実も。では、ダイエットに大事なことはなんなのでしょうか。
最新の生理学、脳科学、疫学研究、心理学、行動科学などを駆使して、石川さんがダイエットに成功するために、本当に必要なことを解き明かします。

③ダイエットの続け方

 さて、ダイエットの正しいやり方がわかっても、もうひとつ難しいことがあります。それは、ダイエットを「続けるのはたいへん」だということです


 今までなにかを継続できなかったとき、自分にはやる気や根気が足りないからだと落ち込んだことはないでしょうか。本書では、「そんなことはない!」ということをお伝えしたいと思います。

 そもそも、ほとんどの人の「意志の力」というのは、〝まったく〟あてになりません。やらなければいけないことを、やらなかったり、あとまわしにするのは、まったくもって普通のことなのです。

 では、どうしたらいいのか。


 その秘訣は「習慣」にあります。たとえばみなさんも、歯磨きは毎日しますよね。それは努力してやっていることでしょうか。そうではなくて、「そういうもの」だからやっていて、むしろ、やらないと「気持ち悪い」。それが習慣というものなのです。

 本書の3章では、〝やせたままでいる生活〟を習慣にする方法を説明します。最新の脳科学や心理学の研究成果から、習慣はどうやってできるのかということが、だいぶわかってきました。たとえば、スポーツ選手は継続の達人ですが、じつは彼らは、習慣化の達人でもあります。そういった、継続についての「理論と実践」をお伝えします。

歳をとるだけで太りやすくなります

 人間が太ってしまう大きな原因が、もうひとつあります。それは加齢です。誰でも歳をとるものですが、じつは、それ自体が太る理由になるのです。

 先ほど、リバウンドの原因のひとつに、食事制限をすると筋肉が落ちて、基礎代謝が下がってしまうことをあげました。同じように、歳をとることでも、筋肉量は減っていきます。

 ひとの筋肉の量は20~30代でピークを迎えます。その後、毎年0.4%~1%ずつ減っていくのです。ですので、最大で1%減ると考えると、10年歳をとれば10%ずつ筋肉量が減ることになります。その分、基礎代謝が減って、脂肪がつきやすくなるわけです。


図3. 年齢と筋肉量の変化

 また、筋肉が減ると体力が落ちます。疲れやすくなるので、動くのがおっくうになってきて、さらに太りやすく……と、非常によくない負のスパイラルに陥ってしまいます。


 筋肉は、使わないとみるみる減ってしまいます。このことを私たちに教えてくれたのは、宇宙飛行士たちです。

 宇宙から戻ってきたばかりの昔の飛行士たちは、自分で立って歩くことができず、関係者に抱えられてリハビリの病院へ直行していました。

 地上では立ったり、歩いたりしているだけでも、重力が加わり、それが刺激となって筋肉を減らさずに保てています。ところが、重力がほとんどない宇宙ではその刺激もなくなりますから、筋肉が急速に減ってしまうのです。

 その反省から、現在では、国際宇宙ステーションには運動するためのマシンが備えられており、宇宙飛行士たちは毎日1〜2時間程度のトレーニングを日課にしています。


 地上にいても、ごろ寝ばかりしていると、使われない筋肉は減りやすくなります。病院に入院してベッドに寝たきりですごしていると、1日に1.0〜1.5%という急激ないきおいで筋肉は減ると言われています。

 平日忙しく働いていると、休みの日はごろ寝をしたくなりますが、なるべく動くようにしたいものです。それが基礎代謝を保つカギなのです。

体重とは生活習慣の〝結果〟である

 ここまで読んで気づいた方も多いと思うのですが、体重というのは長い目で見れば、一人ひとりの生活習慣の〝結果〟なのです。


 そもそも人間の体重は、水分を除くと内臓と骨と筋肉と、あとは脂肪を足したものです。水分の比率、そして内臓と骨はほとんど変化しません。つまり、体重を変化させるのは、脂肪と筋肉の量です。

 たくさん食べれば脂肪がつきますし、運動をすれば筋肉が増えます。筋肉が増えるとその分の体重が増えますが、代謝がよくなるので太りにくくなります。筋肉が減るとその逆のことが起こります。

 そうした日々の生活の積み重ねの「結果」が、体重に表れるのです。


 ある人のいちばん基本的な状態は、20歳前後の体だと言われています。そしてそのときの体重がその人の理想体重です。

 先ほどお話ししたように、歳をとるほど太りやすくなることもあって、20歳前後の体重から10㎏増までは医学的には大丈夫と言われています。

 20歳前後より10㎏以上太っているとしたら、本来の健康な状態を保つための生活習慣が乱れていると考えてよいですし、改善が必要です。


次回「どうして予防医学研究者の私がダイエット本を書いたのか?」5/25更新予定


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『最後のダイエット』

第1章 なぜダイエットはこんなに難しいのか?
第2章 ハーバード式・究極のダイエット理論
第3章 モチベーションゼロで成功率100%のコツを学ぶ
第4章 ダイエットについてのQ&A

この連載について

初回を読む
最後のダイエット

石川善樹

最新の生理学、脳科学、疫学研究、心理学、行動科学などを駆使して、「みんなの健康づくり」のプロ、予防医学研究者である石川善樹さんが人類史上最大の難問であるダイエットに解き明かしました! もう絶対リバウンドしない、その名も「最後のダイエッ...もっと読む

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mariemarietrip 本買いたいけどコレをレジに持って行く勇気が… → 約2年前 replyretweetfavorite

Atack20 自分は20歳のとき110kgあったけど、それが基本となっているのか? 約2年前 replyretweetfavorite

sizukanarudon 最後のダイエット|石川善樹@ishikun3 https://t.co/ydmgq7VaIH 努力してやるのではなくて、 「そういうもの」だからやっていて、 むしろ、やらないと「気持ち悪い」 それが習慣というもの。 約2年前 replyretweetfavorite

kurokikoichi 「歳をとるだけで太りやすくなります」「体重とは生活習慣の〝結果〟である」とか耳が痛い: 約2年前 replyretweetfavorite