第64回】マクドナルドが失った「キラキラ感」の現在地

『暮しの手帖』元編集長の松浦弥太郎さんが移籍先に選んだのは、日本最大級の料理レシピサイト・クックパッド。ユーザーインターフェースや経営戦略の先進性が注目されている同社は、松浦さんを起用して今後どのような方向に進むのでしょうか? また、業績悪化が続くマクドナルドについて、アメリカ文化の象徴、キラキラ感などの切り口から勝手に語り合います!

5月2週の主なできごと
・箱根山で火山性地震増加(5月3日)
・英王女の名前決定 シャーロット・エリザベス・ダイアナ(5月4日)
・明治の産業革命施設 世界遺産登録を勧告(5月4日)
・任天堂とユニバーサルスタジオが提携、テーマパーク展開を計画(5月7日)
・善光寺「ドローン」落下 15歳少年、派出所に名乗り出る(5月9日)

ジャンクフード時代の終焉は近い

速水健朗(以下、速水) 前回は松浦弥太郎を話題にしたけど、クックパッドが今後どういう仕掛けに出るかも、すごく興味あるんだよね。クックパッドって、ユーザー・インターフェイスや経営戦略の先進性において、IT、ウェブ業界の人たちにすごく注目されている企業でもある。

おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 単純に考えれば、クックパッドユーザーに本物志向を提案していく方向性はありですよね。

速水 クックパッドが弥太郎印の「鰹節削り器」を売るっていう方向性だろうね。最近、テスラモーターズが電気自動車を売る会社からバッテリーメーカーに転身するというのが話題だけど、そんな感じでさ。

おぐら 前は日本ハムとレトルト食品を共同開発してましたけど、今後は鰹節削り器ですか! かなりの本格志向ですね。

速水 それとは別にさ、食に関して安かろう悪かろうのジャンク時代って、終わりに差し掛かっているかもしれない。それは、すき家やワタミのようなデフレ外食産業が危機を迎えていたりするところからも思うことだよね。

おぐら それとマクドナルドですよ。2015年1〜3月期の損益が145億円の赤字で過去最高の額に上ったというのが話題になっています。

速水 もちろん、中国からの使用期限切れ食肉を輸入してたのが発覚したり、相次ぐ異物混入の悪いイメージから脱却してないのが問題なんだけど、実は世界規模でもマクドナルドの人気凋落が始まっている。マクドナルドがこれまで邁進してきた郊外型チェーンの拡大という戦略に見切りを付け始めていることも含め、いまのマクドナルドって語りがいがある気がする。おぐら君はマックって行くの?

おぐら 徹夜明けの朝マックは好きですよ。あとは車で地方に行くときにテンション上がるとドライブスルーに寄りたくなります。

速水 俺の子どもの頃って、マックはキラキラした場所だったのね。マックの赤いバス*1貸し切って誕生日会やるのが夢だったし、マックのバイトって、クラスでもかわいい女の子たちが競ってバイトしてた。
*1 マックパーティバス。一部の店舗でに2階建てバスを「パーティバス」として設置している。

おぐら かつてはハレの場としての雰囲気がありましたよね。僕が中学生の時には、マックに行くのがちょっと背伸びしてる感じで、グループデートしたりしてました。

速水 でも今はさ、高校生が普通にたむろしているけど、昔となんか違うでしょ。やつら、あまりキラキラしてないというか。

おぐら 渋谷とか池袋の繁華街の店舗ともなると、ちょっとした場末感すらありますよ。2006年に当時の原田永幸社長が24時間営業を開始して以降、深夜には終電を逃した人が寝てる姿を多く見かけるようになりましたし。ただ場所によって雰囲気はかなり違うんじゃないですかね。僕の家の近所のマックは、昼間は子供連れで賑わってます。

アメリカ文化の象徴が持つ「キラキラ感」

速水 マックの衰退については、直営店方式からフランチャイズ方式への切り替えの失敗だとか、創業者の藤田田氏の流れをくむスタッフや店舗を前社長の原田氏が追い出しにかかったのが質の低下に繋がっただとか、いろいろな説があるんだけどね。

おぐら でも衰退の本質は、ある時期までのマックが持っていた「キラキラ感」が失われたことにありそうですね。ちなみに、この連載の新担当編集である20代前半男子のK君はマックどう?

 安く腹を満たせるというので、小学生の時は毎週末にハンバーガーを食べてました。その時はまだ一個80円だったので、2個頼んで160円。

速水 キラキラ感を感じる場所ではない?

 全く感じなかったです。友だちと遊戯王のカードゲームやりに行ってました。

速水 そこでバイトするのに憧れたりは?

 ないです。時給安いんだろうなってくらいで。

おぐら 憧れどころか、低賃金労働のイメージだ。あとマックではお金使いたくないっていう声も聞きます。

速水 まあそうか。きっと、ある時期までマクドナルドがキラキラしてたのって、その背景にアメリカ文化への憧れみたいな感情があったからなんだよね。

おぐら マクドナルドやコカ・コーラって、確かにアメリカ文化の象徴っていう感じがかつてはありました。

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すべてのニュースは賞味期限切れである

おぐらりゅうじ /速水健朗

政治、経済、文化、食など、さまざまジャンルを独特な視線で切り取る速水健朗さんと、『TVブロス』編集部員としてとがった企画を打ち出し、テレビの放送作家としても活躍するおぐらりゅうじさん。この気鋭のふたりのライターが、世の中のニュースを好...もっと読む

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コメント

oguraryuji @maesan 一年ほど前の記事ですが https://t.co/lo7nF5XVaP 4年以上前 replyretweetfavorite

Quishin かつて、マックはキラキラした場所だった。 5年以上前 replyretweetfavorite

kuma_kuma うーん、上陸直後(昭和40年代)はともかく、自分が高校くらい(昭和60年代)にはアメリカの入り口という感じはすでになかったなー。 http://t.co/6Cuj2Kxg39 5年以上前 replyretweetfavorite

yusoka 担当編集者・20代前半男子・K君のコメントで笑った。彼が小学生の頃のマクドナルドのキラキラ感のなさときたら。|マクドナルドが失った「キラキラ感」の現在地 | おぐらりゅうじ/速水健朗 https://t.co/EaspNotDU0 5年以上前 replyretweetfavorite