こんにちは。cakes編集部です。
みなさんは
石川善樹さんは、東大の医学部を経て、ハーバードの大学院で公衆衛生を学び、今は健康づくりの専門家として、厚生労働省やお医者さん、有名フィットネスクラブなどへ指導をされています。
cakesでは、過去に「『人間を理解したい!』という欲望」というインタビューにご登場いただいたことがあります。
また、NHKのニュース番組のナビゲーターをされたりしていたので、そちらで見たことがある人もいるかもしれませんね。
そんな石川善樹さんの趣味は、論文を読むことです。医学や脳科学、心理学、統計学など幅広い種類の論文を読むのが楽しくてしかたがないのだそうです。「飲みに行くよりも、論文を読むほうがぜんぜん楽しいんです」とすごくうれしそうな顔をしておっしゃいます。
そんな石川善樹さんをして、「ダイエットは、人類史上最大の難問」といいます。
肥満の原因はとてもシンプルで、2つしかありません。それは「食べ過ぎ」と「運動不足」です。しかし、これを科学的に解消しようとすると、医学だけでなく、生理学、脳科学、疫学研究、心理学、行動科学などあらゆる学問の領域にわたって、とにかくややこしい問題となります。
今回、石川善樹さんが「成功するダイエット」とはどういうことか、を明かしてくれることになりました。ダイエットに成功するということは、「単にやせること」ではない、といいます
なにやら禅問答のようになってきましたが、それはどういうことなのか? これからの連載をお楽しみいただければと思います。
これが、みなさんの人生最後のダイエットになりますように。
もうすぐ夏ですからね。
どうしてダイエットの本には決定版がないのか?
薬局に行くと、たくさんの種類の風邪薬が出ています。決定版があればひとつでいいはずなのに、なぜそうなるのかというと、風邪にはまだ特効薬がないからです。 だから、いろんな対症療法をする薬が売っているのです。
ダイエットも似ています。テレビや雑誌では定期的に特集が組まれますし、ものすごい数の本も出ています。多くの人が、複数の方法を試したことがありますが、やせたりやせなかったり。そうなる理由は、風邪薬といっしょで、「これが正解」 と言い切れる方法論がまだ見つかっていなかったのです。
私は予防医学、つまり健康づくりの研究者です。国の機関から依頼を受けて、お医者さんや栄養士さんなどの専門家にもダイエットの指導をしています。メタボリック症候群、いわゆる肥満はあらゆる生活習慣病の大元なので、健康づくりの中でも、とても大事な問題なのです。
この本では、最新科学の発見をもとに、誰でも確実にできるダイエット法を伝えるのが目的です。
お伝えする内容は、
「①正しいやせ方」
「②やせたままでいる方法」
「③ダイエットの続け方」
の3つです。
①正しいやせ方とは
ダイエットが難しいのは、「人はそれぞれ違っている」からです。ある人に「りんごダイエット」や「ファスティング」が効いても、それが別の人に効くとは限りません。
また、食べるものを減らしてカロリー制限をしても、一人ひとり、身長や体重、 年齢、生活習慣などが違うわけですから、やってみないとどのぐらいの効果が出るかわかりません。
たしかに、カロリー制限をするのは、確かな方法なのですが、一人ひとりにぴったりの数字を知るのが難しいのです。本などでは、どうしても典型的な例しか出せないという制約があるためです。
そこで、この本では、インターネットのサイトと連携して、目標の体重や期間、そして年齢、性別、普段の行動などを入力すると、あなただけの正しい数字を教えてくれる「減量シミュレーター」というツールを用意しました。
減量シミュレーター
※PCやスマートフォンから誰でも使うことができます
このツールを使えば、簡単な項目を入力するだけで、いつまでにどのぐらいカロリーを抑えるべきかを教えてくれます。
じつは、ダイエットをするときの一人ひとりのカロリー消費量は、正確に計算することが難しいものでした。この計算が近年の医学・生理学の研究成果によって、うまくできるようになりました。
この「減量シミュレーター」は、筋肉のつき方や運動量などをシミューレーションして、一人ひとりにぴったりの数字、つまり、正しいやせ方を教えてくれるのです。
本書では、この「減量シミュレーター」を活用しながら、あなたに最適なやせ方をご紹介します。
②やせたままでいる方法
そして、たとえうまくやせることが できたとしても、まだ問題があります。 みなさんも経験があると思いますが、「やせたままでい続けること」が、とても難しいのです。もしかするとこれは、①の「やせること」よりも難しいかもしれません。図1を見てください。
図1.リバウンドをする人の体重変化
多くの人が、このグラフのように、 いったんやせても、また太ってしまいます。時にはもとの体重よりも重くなることも。これがいわゆる「リバウンド」です。
ダイエットを開始したのがA地点。 始めのうちはがんばって、B地点まで減量できました。しかし、体重が少しずつ増えていき、元の体重に戻っていきます。これがA'地点です。
その後なぜか、体重はそこでストップしないで地点まで上昇することも。つまり、元の体重よりも増えてしまうこともあるわけです。
そして、これを繰り返していると、 どうなるでしょうか。図2を見てください。
図2.リバウンドを繰り返す人の体重変化
ダイエットをするたびに、体重は右肩あがりに増えてしまうのです!
いつもダイエットを失敗して体重が増え続ける人は、このグラフのような悪いサ イクルにハマっています。よくあることなのですが、本当におそろしいですよね。
どうしてダイエットをすればするほど太るのか
やせるためにダイエットをするのに、なぜリバウンドしてしまうのでしょうか。
ひとつは、体重が落ちても、気を抜くとダイエット前と同じ生活に戻ってしまうためです。
もともと太っていたのは、食べすぎや運動不足の生活を送っていたからです。太る生活をしている結果、太っていたわけで、元の生活に戻れば、同じ体重まで戻るのは当然です。
しかしそれ以外に、リバウンドの大きな原因がもうひとつあるのです。それは、食事制限だけでやせると、筋肉が減ってしまうということです。
筋肉が減ると、日常で消費するカロリーが減ってしまいます。人間はじっとしているだけでも熱を発しており、カロリーを使っています。これを基礎代謝といいますが、筋肉が減ると、この基礎代謝が下がってしまうのです。そのため、やせる前と同じ食事をとっていても、筋肉が減った分、カロリー消費が減ってしまって、ダイエットする前よりも太りやすくなるのです。
そもそも、ダイエットが成功するとはどういうことでしょうか。それは、単に体重を減らすことではなく、理想の体重のまま、苦労せずにキープできるようになることですよね。
ダイエットの成功を、ある時点を切り取った〝瞬間の〟数字で計るのは間違いです。それよりも大事なのは、自然とやせたままでいられる生活習慣を築くこと。そうしてはじめて、がんばったりしなくてもリバウンドすることのない、安定した体重を得られるわけです。
この本では、先ほどご紹介した「減量シミュレーター」と生活習慣のつくり方のコツを伝えることで、やせたままでいるにはどうすればよいのかをお伝えします。
次回「一番、難しいのはダイエットの続け方」5/21更新予定
本当のダイエットは体重ではなく人生が変わる——石川善樹インタビューも併せてお楽しみください。
一人ひとり、やせたままでいるにはどうすればいいかがわかる世界初の減量シミュレーターを、一度お試しください。
減量シミュレーター(PC・スマホからアクセスできます)
発売即重版!「みんなの健康づくり」のプロである予防医学研究者・石川善樹さんが、最新科学で解き明かす新しい減量法の決定版、絶賛発売中です!
第1章 なぜダイエットはこんなに難しいのか?
第2章 ハーバード式・究極のダイエット理論
第3章 モチベーションゼロで成功率100%のコツを学ぶ
第4章 ダイエットについてのQ&A