開沼博(以下、開沼) 僕が福島の復興に関わる仕事をやっているのは、義務感とかそういうのより、正直なところ「楽しい」からです。
上野千鶴子(以下、上野) いいじゃない、楽しくて。
開沼 いや、「楽しい」なんて言うと不謹慎だと怒る人もいますけどもね。
上野 私は楽しんじゃ悪いとは思わない。研究ってそれ自体が楽しいものですから。楽しめばいいし、たくさん本を出版して有名になってお金も儲けたらいいと思うけど。
開沼 そんなに儲からないんですけどね(笑)。
上野 さっきから合いの手みたいに愚痴ってませんか?
開沼 あ、いいえ、でもこうして楽しそうにしていることによって後進の研究者が出てくるのかな、と思いますね。
上野 不謹慎な言い方かもしれないけど、福島の経験は、全く前例のない、人類未曽有の経験なんだから、未知の分野に踏み込むときは、良くも悪くもわくわくするに決まってます。
開沼 そうですね(笑)。
正しいことを言ってもまかり通らないのが当たり前
上野 文体についてはちょっと注文が。こういう真面目なこと書くならもうちょっと、言葉を選んで書いた方が良いと思う。言わなくてもいいことを言うことで、味方になるべき人を敵に回すこともあるからね。
開沼 べらんめえ口調で語る大先輩である上野さんの影響あってのことだと思いますが、ご忠告は守りたいと思います。
上野 そうね、私が言うのもおかしいけど。経験から学んだっていうことよ(笑)。
(会場笑)
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