イラストレーターさんに聞いた創作のコツ
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
いきなり親バカに聞こえるかもしれませんが、うちの娘、大学で油絵を専攻していたくらいなので、当然すごく絵が上手いんです。で、一度、娘に「イラストとか描いてみたら? bar bossaのお客さんで仲の良い編集者の人に見てもらえるよ」って言ってみたんです。そしたら、「あのねえ、絵って見たままを描くのは簡単なんだけど、イラストって自分だけのスタイルを作らなきゃいけないからそんな簡単なものじゃないの」って叱られました。
この娘との話を、以前、イラストレーターの松尾たいこさんが来店したときにしました。松尾たいこさんの描く絵って、すごく独創的で彼女だけの独特の世界観を持っているんですよね。なので、「自分自身のオリジナルな絵ってどういう風に作り上げるものなんですか?」って質問してみました。ああいう自分だけのスタイルを作りあげるのって、何か特別な才能があるのだろうか、それとも他の人とは世界の見方や考え方が違っていて、ああいう幻想的な自然と絵が降りてきたりするのだろうかと、とても興味があったんです。
するとこんな意外な答えが戻ってきました。
「私、すごく素直なんです。いろんな人に『こういう風に描いてみれば』って言われたら、素直に試してみるんです」
すごい話だと思いませんか? 我々がイメージするアーティストって、やっぱり自分の感性に自信やプライドがすごくあって、誰かに「こうしてみれば?」って言われてもそう簡単には変えないと思いますよね。実際、「こうしてみれば?」って誰かに言われたら「あなたに私の絵の何がわかっているのよ!」って怒ってしまうアーティストもたくさんいるのも事実なんだそうです。それを松尾たいこさんは、「じゃあそうしてみようかな」って考えることができるそうなんです。なんでそんなことができるのか、僕なりにちょっと考えてみました。