人の意見を受け入れる

今回のbar bossa店主・林伸次さんのコラムは、イラストレーターの方に聞いた「どのように自分の世界観のある絵を形作ったのか?」という質問からお話が始まります。その意外な答えに、衝撃を受けた林さん。そしてそれは、どんな人にも当てはまる、仕事や生きていく上で役に立つ考え方でもありました。

イラストレーターさんに聞いた創作のコツ

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

いきなり親バカに聞こえるかもしれませんが、うちの娘、大学で油絵を専攻していたくらいなので、当然すごく絵が上手いんです。で、一度、娘に「イラストとか描いてみたら? bar bossaのお客さんで仲の良い編集者の人に見てもらえるよ」って言ってみたんです。そしたら、「あのねえ、絵って見たままを描くのは簡単なんだけど、イラストって自分だけのスタイルを作らなきゃいけないからそんな簡単なものじゃないの」って叱られました。

この娘との話を、以前、イラストレーターの松尾たいこさんが来店したときにしました。松尾たいこさんの描く絵って、すごく独創的で彼女だけの独特の世界観を持っているんですよね。なので、「自分自身のオリジナルな絵ってどういう風に作り上げるものなんですか?」って質問してみました。ああいう自分だけのスタイルを作りあげるのって、何か特別な才能があるのだろうか、それとも他の人とは世界の見方や考え方が違っていて、ああいう幻想的な自然と絵が降りてきたりするのだろうかと、とても興味があったんです。

するとこんな意外な答えが戻ってきました。

「私、すごく素直なんです。いろんな人に『こういう風に描いてみれば』って言われたら、素直に試してみるんです」

すごい話だと思いませんか? 我々がイメージするアーティストって、やっぱり自分の感性に自信やプライドがすごくあって、誰かに「こうしてみれば?」って言われてもそう簡単には変えないと思いますよね。実際、「こうしてみれば?」って誰かに言われたら「あなたに私の絵の何がわかっているのよ!」って怒ってしまうアーティストもたくさんいるのも事実なんだそうです。それを松尾たいこさんは、「じゃあそうしてみようかな」って考えることができるそうなんです。なんでそんなことができるのか、僕なりにちょっと考えてみました。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

HamamicrO こうしてみたら?に素直にチャレンジできる新鮮な僕で始めよう。 https://t.co/1vGknQlIpD 2年弱前 replyretweetfavorite

shujiuyeda なんとなくシェア 林さんのお話。ホントに為になる。 https://t.co/qlbMUrbgTv 3年以上前 replyretweetfavorite

wanwan023 「「素直に受け入れる」って、実はすごく「創造的な行為」なのではないでしょうか」 約4年前 replyretweetfavorite