パリで生きた親子の芸術家、その人生とは?「ユトリロとヴァラドン 母と子の物語」

歴史ある美しいパリの街並みを描いてきたユトリロとその母親、ヴァラドンの二人展「ユトリロとヴァラドン 母と子の物語」が東京・東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。息子・ユトリロと、自由奔放な母親・ヴァラドンの関係性から生じているであろう作品性の違いは明らか。しかし、二人には一つの強い共通点があります。その共通点からわかる「個性」の本質とはどのようなものでしょうか。


左、ヴァラドン《画家の母》1912年 国立近代美術館蔵、パリ 右、ユトリロ《「小さな聖体拝受者」、トルシー=アン=ヴァロアの教会(エヌ県)》1912年頃 八木コレクション蔵

世界屈指の「絵になる場所」のひとつが、パリの街並みです。数多のアーティストが、その華やかさや重厚さ、洒落っ気、規則性と猥雑性が混在しているさまを、作品に落とし込んできました。なかでも街のなかにある「白」と、風景ににじむ哀愁をくっきり描き出したモーリス・ユトリロは、パリのイメージ形成に大きく寄与したひとりだとおもいます。

ユトリロの生涯を作品でたどる展覧会が、はじまっております。ただし、展示は彼だけの作品ではなく、二人展です。パートナーはスュザンヌ・ヴァラドン。何を隠そう、ユトリロの母親です。東京・東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館での「ユトリロとヴァラドン 母と子の物語」です。

会場では、両者の作品が混ぜ合わせて展示されています。が、たいていは、どちらの作品であるかひと目でわかります。親子だとはいえ、作風はかなり違うのですね。画面全体が灰白色で、青空もどこか彩度を欠くのは、ユトリロの絵です。入り組んだ街並み、多くはパリのモンマルトル地区ですが、その光景を描いた作品では、建物や道路塀がずいぶん年季の入った薄汚れたものとして描かれています。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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hal_31 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館て長すぎない? 約5年前 replyretweetfavorite