人工知能って……そもそもなに!?— 人工知能の真実 vol.1

ロボット研究者の石黒博士に取材するなかで、アンドロイドの脳にあたるAI=人工知能についてもっと詳しく知りたいと思った海猫沢めろんさん。ここ数年の人工知能の飛躍的進歩は、人間の知性に迫る勢い。人工知能研究の最前線の人たちはそれをどう考えているのでしょう。それを探るために、日本における人工知能研究の第一人者、松尾豊准教授に話を伺いに東京大学にやってきました。

2012年1月14日、100万人が注目した世紀の対決が行われました。

人間とコンピュータの将棋対決「第一回将棋電王戦」です。

人類代表は、永世棋聖であり日本将棋連盟会長、米長邦雄(68歳)。そしてコンピュータ代表は「ボンクラーズ」。

持ち時間三時間の対局は、先手ボンクラーズの初手▲7六歩から始まり、後手米長は事前研究していた「6二玉」という、人間との対局ではありえない手を指し、守りを固めます。じわじわと攻めるボンクラーズ。守る米長。長い攻防の末、勝負を制したのはボンクラーズでした。

人工知能が一流棋士に勝利するようすがインターネットで中継された、歴史的瞬間でした。

続く2013年より電王戦は5対5の団体戦になりましたが、初回も2回目もプロ棋士が負け越しており、今年は人間が勝ちましたが、コンピュータ側に相当なハンデが課されていました。タイトルホルダーとの対局はないものの、この結果を見て、「もはやコンピュータは人間を超えた」と言う人もいます。果たして、本当に人工知能は人間を超える知性を備えたのでしょうか?

このルポではいままで、生物の機械化、機械の生物化、この二つの交点を探ってきました。

前回、ロボット研究者の石黒博士に取材するなかで僕は、アンドロイドの脳にあたるAI=人工知能についてもっと詳しく知りたいと思いました。

ここ数年の人工知能の飛躍的進歩は、まさに人間の知性に迫る勢いです。人工知能研究の最前線の人たちはそれをどう考えているのでしょう。

機械は人間を超えられるのか?

それともまったく違った進化を遂げようとしているのか?

それを探るべく、今回訪れたのは、東京大学です。

古くは鴎外や漱石が住んでいたことでも知られる文京区。本郷三丁目駅から歩いて数分、東大正門を入ってまっすぐ進むと、安保闘争で有名な安田講堂が見えます。その隣の建物。工学部2号館9階にある研究室、ここにいるのが、日本における人工知能研究の第一人者、松尾豊准教授です。

人工知能って……そもそもなに!?

— 実はこのルポを始めてから、複数の人に「松尾先生に取材しないのか?」と聞かれることが多かったんです。そのときはまだ松尾さんのお名前を存じておらず。あとで、人工知能についての記事を調べ始めてから「日本の人工知能研究の第一人者だったのか」と知った次第です。今日はよろしくお願いします。

松尾 ええ。よろしくお願いします。

— いきなりですが、人工知能ってなんなんでしょう?

松尾 いきなりですね(笑)。人工知能はArtificial intelligent、通称AIとも呼ばれています。あまりに多岐にわたるので、定義が難しいのですが、基本ふたつの考え方があって。機械が今できるよりも賢いことができるなら「AI」でいいよね、っていう人と、そもそも知能とはなにかを深く考えながら研究している人がいます。

— 「今できるよりも賢いこと」というのは?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
“すこしふしぎ”な科学ルポ

海猫沢めろん

漫画家・藤子不二雄氏はかつて、SFを「すこし・ふしぎ」の略だと言いました。そして現在。臨機応変に受け答えするSiri、人間と互角以上の勝負を展開する将棋ソフト、歌うバーチャルアイドル初音ミク、若い女性にしか見えないヒューマノイド……世...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

uminekozawa ◆SFはすでに現実である! 8ヶ月前 replyretweetfavorite

uminekozawa ◆SFはすでに現実である! 9ヶ月前 replyretweetfavorite

uminekozawa ◆SFはすでに現実である! 10ヶ月前 replyretweetfavorite

uminekozawa ◆SFはすでに現実である! 11ヶ月前 replyretweetfavorite