川田十夢
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第4回】ARをさらに「拡張」していく
ビームから始まった、川田十夢さんとARをめぐるお話。最終回では、未来のARの一端をお見せします。福島で川田さんが企んでいることとは? もう、ARが出現するのにマーカーは必要ない? 「検索窓」を「拡張」する? 川田さんと一緒に、ARの可能性について考えていきましょう。
希望の輪郭を、ARのクレヨンで描く
川田十夢(以下、川田) 僕はいま、福島の復興をARでお手伝いできないかと考えているんです。
——放射能関係ですか?
川田 たしかに、原子力発電所の事故が起こったあと、AR三兄弟には、放射線を可視化してほしいという声がたくさん届きました。でも、僕は恐怖を可視化しても仕方ないと思ったんです。もっと、ARは違うことができるはずです。それでここは、放射能よりクレヨンだなと。
——クレヨン、ですか。
川田 希望の輪郭を描くクレヨンです。「未来にこういうものがあってほしい」というような輪郭を描くと、空間に情報としてタグづけされるシステムをつくるんです。学校とか、観覧車とか、なんでもいい。いろんな人が線を引くと、きっと線が重なるところが出てきますよね。それはみんなの希望です。
——あぁー!
川田 で、30年くらいしたら、本当に実現している建物が出てくるでしょう。それを描いたかつての子どもが、輪郭のアーカイブを見ながら「これを本当につくったんだぞ」と言える。そうなったらすてきじゃないですか。
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この連載について
川田十夢
開発ユニット「AR三兄弟」の長男として、アイデアと技術を組み合わせ、ユニークな作品を発表してきた川田十夢さん。目からビームが出たり、透明人間になれたりと、まさに「夢」のようなことを実現する「AR(拡張現実)」とは、いったいなんなのでし...もっと読む
著者プロフィール
開発ユニット「AR三兄弟」の企画・設計者。公私共に長男。デザインチームALTERNATIVE DESIGN++主宰。AR(拡張現実)の技術で、雑誌、アニメ、アート、玩具、ファッション、お笑いなど、さまざまなものを「拡張」してきた。アイドルを拡張したときは自らもCMに出演し、話題となる。真剣に「かめはめ波」を出そうとする、傘で空を飛ぼうとマンションの8階から飛び降りるなど、子どもの頃から現実と物語の区別がつかなかった。区別がつかないまま大人になり、物語と現実をつなぐ企画を実現させて続けている。著書に『AR三兄弟の企画書』(日経BP)がある。
Twitter:@cmrr_xxx
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