「旅の粋」を感じた金沢の寿司屋
先週末は北陸へ。金沢21世紀美術館の展覧会『ポスト工業化時代の美術』のオープニングにあわせて、一回り半ほど上の先輩と、おっさん二人で金沢~富山ぶらり酔っぱらいの旅。友人のスプツニ子!が出展してたり、前回の連載にも登場していた束芋さんも参加しているグループ展だ。レセプションでは束ツニ子!とかいいながら、初対面だったというお二人とともに写真を撮れたりで嬉しかった。
実は僕はひとり前のりしてランチは雑誌でみかけて行ってみたかった、金沢市北部の港近くの住宅街にあるお寿司屋さん「菊屋」へ。知り合いの漁師さんから直接仕入れているという新鮮なネタが楽しめる店だ。こだわりの強そうなご主人だったが、煮切りではなくしょうゆを手でつけて食べるスタイル。理由を聞いてみたら、煮切りにするとシャリの酢を強くしないといけないのが好みでないというのと、この大野という港近辺のエリアは醤油や味噌で有名なところで、小皿の醤油で食べるという文化も守っていきたいという気持ちもお持ちとのこと。僕は煮切りのほうが好みであるのだが、しっくりと来る理由だった。ちょうど季節のホタルイカあたりは本当にとれたばかりなのだろう、その新鮮さに驚き、プリプリ感がはじめての食感だった。
たまたまカウンターでご一緒させていただいた、喜寿を迎えるというご主人とその少し下というマダムの元気なご夫婦と盛り上がり、近所の「直源」という醤油屋さんにご一緒させていただく。自分のおみやげを買いがてら、オリジナルの醤油ポテトチップスをマダムに買って差し上げたのだが、金沢駅まで同乗させていただいたタクシー代を支払おうところ、(ポテト)チップはもういただいたわよと、ウィットに富んだ返しでさらりとスルーされ、旅の粋にうれしくなる。
そして宿で先輩と合流。鈴木大拙館に行った後、21世紀美術館のレセプションへ。ジェームス・タレルのオープンスカイの向こうに月が見えたりでこれまた嬉しくなり、夜ご飯の予約まで少し時間があったので、まずは堅町のバー「漱流」へ。フルーツカクテルを満喫。そしてこの日のディナーは「口福 よこ山」へ。
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