透明人間はいたずらができない
川田 僕、ずっと透明人間のことを考えていた時期があったんです。透明人間になってみたくありません?
——なんでまた(笑)いや、なってみたいです。
川田 そうですよね! もう、透明人間って、どんな感じなのか知りたくて知りたくて、今年の春に「透明人間と黒電話」っていう作品をつくっちゃいました。
透明人間と黒電話 from ar3bros on Vimeo
——わ、透明人間だ!(笑)
川田 電話をとったら、モニターに映る自分が透明人間になるんです。輪郭の点線は残しました。本当に透明になったら、見えなくてつまんないので(笑)。
——あれ? でも、電話をとったはずなのに……
川田 モニターの電話の受話器は上がってないでしょう。そこがポイントです。この作品では、「触覚」も「透明化」してしまうということが言いたかったんです。普通、透明人間というと、見えなくなることだけを考えますよね。でも、僕、透明人間って、ほかも透明になっちゃうんじゃないかなと思ったんですよ。
——ほかとは?
川田 例えば、触ってる感じがしない「触覚の透明化」もそうですし、まったくにおいがしない「嗅覚の透明化」もあると思います。よくマンガなどでは、透明人間がいたずらをしたりしますが、そもそもさわったりもできなくなるんじゃないかと。
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