平凡な女が、子ども産んだってだけで人生語っちゃうの? なにそれ、笑える!

嫉妬、執着、野心。初めて描かれる“女子アナ”たちの衝撃のドラマ! 小島慶子さんの処女小説『わたしの神様』(幻冬舎)を7日間連日で特別掲載します。
第6回は、女子アナに嫉妬する同期たちの辛辣。元女子アナだからこそ描けた華やかなテレビ局の舞台裏、そして“女子アナ”たちの強烈な素顔が浮かび上がります。野心と美貌を宿した女たちのバトルをご堪能ください。

「子どもを産めば、全部帳消しになるのよ。合コン三昧で玉の輿(こし)狙いだった女も、遊びまくって醜態(さら)した女も、みんな聖母面して出直せるんだから。ママタレなんてその最たるものじゃない。じゃあなに、これからは、ママアナ? お仕事も子育ても完璧です! って、子ども抱いて雑誌にでも載るわけ? 平凡な女が、子ども産んだってだけで人生語っちゃうの? なにそれ、笑える!」

 酔っているせいか、立浪望美はいつにもまして辛辣だった。佐野アリサの後継キャスターに望美をという報道局内の声もあったのに、藤村がまなみを推して立ち消えになったことも理由かも知れない。同期会という気安さもあるのか、ずいぶんと酒が進んでいるようだった。

「アリサちゃんも、今日で産休入りなんだから、同期会に顔出してくれればよかったのにね」

 相変わらず話の読めない野元裕子が口を挟む。やめろよ、と周囲が小声で制してもわかっていないのか、わざとなのか、望美のグラスにビールをつぐ。

「アナウンサーの試験で一緒だったんでしょう? 望美ちゃんの方が美人だし、頭もいいのに、うちの人事もなに考えてるんだか」

 それを知っているのは、裕子もアナウンサー試験を受けていたからだ。カメラテストで落ちた裕子は、ひときわ目を引く存在だった望美をよく覚えていた。しかし、佐野アリサのことは印象に残っていない。入社式で、ミスキャンパスの玉名小枝子やモデルの浅井香織と並んでずいぶん地味な子が受かったんだな、と一瞬コネ入社を疑ったほどだ。私の方が、と密かに思ったことは、人事に対する不満として今でもくすぶっている。なんでアリサが受かって、私が落とされたのだろう。

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わたしの神様

小島慶子

嫉妬、執着、野心。初めて描かれる“女子アナ”たち衝撃のドラマ! 元TBSアナウンサーで現在ラジオパーソナリティーやタレントとして活躍中の小島慶子さんが、処女小説『わたしの神様』を上梓しました。cakesでは、本日より7日間連続で特別掲...もっと読む

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yurikomushi81 この小説、ドロドロしてていい。誰か看護師の世界も書いて欲しい 3年以上前 replyretweetfavorite