最高のホテルの王道レストラン
前回もホテルでの食事について書いたが、そのちょっと前に、久しぶりにホテルでディナーを食べる機会があった。僕が東京で一番好きなホテル(どれくらい好きかというと今後の人生でもし結婚することがあればここで披露宴をしたいと長らく思っているくらい、だ)パークハイアット東京の「ニューヨーク・グリル」にお誘いいただき、ディナーを満喫させていただいた。
パークハイアット東京は映画「ロスト・イン・トランスレーション」で一躍世界的にも有名になったが、映画の公開から10年以上、開業から20年が経過した今もその魅力は少しも古びれることなく、このホテルらしい控えめな輝きを増す一方だ。エレベーターを上り、薄暗い「ピークランジ」からフレンチレストラン「ジランドール」の前を抜け、何度通ってもわかりにくい通路、控えめなフロントを横目にもう一度エレベーターに乗ってレストランへ。視界の下拡がる東京の夜景、今風にいうとこの"ユーザー・エクスペリエンス"をもってして、胸がわくわくしない人はいないだろう。何かの主人公にでもなった気分にさせられる。
数年前にニューヨーク・グリルも大きくリニューアルしたが、あまり他では聞いたことがない、内装も雰囲気もほぼ変わらずという内容で、このお店、このホテルだけが許されるであろうその王道スタイルに驚いたのをよく覚えている(そういえばこれも数年前だったか、片山正通さんが手がけたパリのコレットのリニューアルもそういうスタンスであったように思う。どっちが先だったかなぁ)。あまり意識することなく定着しているが、よくよく考えてみるとニューヨーク・グリルという名前からして、至極普通の単語をつなげただけなのに、ユニークな固有名詞として東京の名所として君臨し続けている。