『セーラームーン』前夜—赤名リカと森高千里【第14回】

90年代に大人気だった『美少女戦士セーラームーン』。当時の女の子たちにとってセーラ戦士の活躍は、女の子たちに自分がヒロインになるという勇気を与えていたようです。自分の力で道を切り開く、そんな強さをもった女の子たちが活躍していた時代。憧れの人を眺めるのではなく、「私が憧れの対象になるんだ!」というイケイケな女の子たちを引っ張っていったのはどうやらセーラムーンだけではなかったようです。(初回はこちら

等身大のアイドルとセーラームーンの共通点

モーニング娘。が体現した「普通の自分でもアイドルになれるかもしれない」という希望は、女の子自身が主役として戦うセーラームーン世代の気分と、まったく一致している。

『無印』の初期を思い出してみよう。月野うさぎは当初、巷で活躍していた「セーラーV(うさぎたちと出会う前の愛野美奈子=セーラーヴィーナス)」に尊敬と憧れを抱いていたが、そんな「正義の味方」として活躍するステージに、まさか自分が立つことになるなどとは、まったく想像していなかった。にもかかわらず、あるときうさぎは自覚する。「自分が主役なのだ」と。

「視聴者としてステージ上のアイドルを応援するのではなく、自分自身がステージに立つこと」は、『セーラームーン』において「ヒロインを崇拝するのではなく自分がヒロインになること」と同義だ。

また、「街で“たまたま”スカウトにあったから……と受け身で芸能界に入るのではなく、主体的な欲望をむき出しにしてオーディションに挑む」のは、『セーラームーン』において「危機に際して誰かに守られる受け身の存在ではなく、自分が直接戦闘する覚悟」に呼応する。

憧れの対象を「眺める」のではなく、憧れの対象に「なる」ことが(当時流行った言い回しで言うなら)、“イケてる”女子の基本マインドだった1990年代半ば、その立役者となったのはオーディション番組である『ASAYAN』だった。そしてオーディションにこぞって参加したのは、その3年以上前から社会現象化していた『美少女戦士セーラームーン』の視聴者ではなかったか?

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セーラームーン世代」を語り尽くす!

稲田豊史

90年代に大人気だった『美少女戦士セーラームーン』。その人気は20年経った今も衰えることを知らず、新アニメの放送や関連グッズの発売も話題になっています。当時リアルタイムでセーラームーンを視聴していた少女たちは、今やアラサー世代。知らず...もっと読む

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sizukanarudon 「セーラームーン世代」を語り尽くす!|稲田豊史@Yutaka_Kasuga https://t.co/aE0hu8EdFE 『東京ラブストーリー』赤名リカ(鈴木保奈美) https://t.co/2GMkkVBcGr 5年弱前 replyretweetfavorite

0501Can #セーラームーン #赤名リカ #森高千里 #ASAYAN 5年弱前 replyretweetfavorite

shimadakana バブル期以降、幼少〜思春期に女子が影響を受けたアイコンはずっと「自らがステージに立つ」ようなもなばかりだったのね。なるほど。... http://t.co/pcnJT09Xbv 5年弱前 replyretweetfavorite

Yutaka_Kasuga 最新回アップ!今回は比較的アラフォーのオジさんもついてこれる内容では…→ 5年弱前 replyretweetfavorite