1990年代初頭の「女子の欲望すべて」【第13回】

90年代に大人気だった『美少女戦士セーラームーン』。一大ムーブメントを巻き起こしたセーラームーンは、なんと当時の他の流行や時代すら引っ張っていました。コギャル文化やSPEEDとセーラームーンの関係性や共通点から見える当時の少女たちの特徴や社会の様子とは?(初回はこちら

時代を追いかけるのではなく、“引っ張っていた”

『美少女戦士セーラームーン』が放映されたのは1992年3月から1997年2月の5年間。劇中には、ミュージックテープやテレホンカード、ポケベル等、時代を感じさせるガジェットが頻繁に登場する。

亜美は第151話『真のパワー爆発! 亜美 心のしらべ』(1995年11月4日放映)において「パソコン通信」を利用している。その当時、まだまだギークな大人によるホビーの範疇だった「パソコン通信」を、中学二年生の亜美が使いこなしている様子には、かなり“天才少女”感がある。

ちなみにWindows95の日本語版発売は1995年11月23日。国内でインターネットが普及しはじめるのは翌年以降だが、亜美は第174話「学園に吹く嵐! 転校生はアイドル」(1996年5月18日放映)で早くも「インターネットした」というセリフを発しており、先端感がうかがえる。

ただし、『美少女戦士セーラームーン』は時代を追いかけていた作品ではない。少なくとも、そこで描かれる女の子たちの精神性においては、90年代のロールモデルと呼ぶべき先進性を提示した作品だ。

アニメ関連の編集プロダクション「スタジオ雄」を率いる小黒祐一郎氏は「月刊アニメージュ」の特集「セーラームーンの5年間」(1997年2月号)において、こう書いている。

「『セーラームーン』の連載がはじまったのが5年前だ。
世間にはまだコギャルなんて、いなかった。5年前、セーラームーンは時代の最先端の女の子だった。
明るくて、健康的で、セクシーで、自分の欲望に忠実でという月野うさぎの個性は、すなわちコギャルの個性と言う事ができるだろう。いや、コギャルのお手本がセーラームーンだったのかもしれない。
だが、現在。街にコギャルは溢れかえっている。セーラームーンは、もう新しくないのだ」
—「月刊アニメージュ」1997年2月号、p37

コギャルとは、ミニスカート、ルーズソックス、茶髪、顔黒(ガングロ)といった外見的特徴を備える10代を中心とした女性の俗称で、1990年代半ばあたりから出現した。コギャル文化の中心的担い手とされた雑誌「egg」の創刊は1995年なので、コギャル文化が『セーラームーン』放映中にブレイクしたのは間違いない。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
セーラームーン世代」を語り尽くす!

稲田豊史

90年代に大人気だった『美少女戦士セーラームーン』。その人気は20年経った今も衰えることを知らず、新アニメの放送や関連グッズの発売も話題になっています。当時リアルタイムでセーラームーンを視聴していた少女たちは、今やアラサー世代。知らず...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

k40r1 ーおお、少年アヤちゃんの原作者(武内直子)インタビューの引用が。 4年以上前 replyretweetfavorite

selan_tw モーニング娘。の話がちょろっとでてくる 4年以上前 replyretweetfavorite

animesama 自分の名前が出てきて、ちょっと驚いた→ 4年以上前 replyretweetfavorite

Yutaka_Kasuga 今回は偉そうに雑誌記事の引用なんぞも行っております→ 4年以上前 replyretweetfavorite