田中良治(Webデザイナー)→鈴木 健(SmartNews)Vol.3 なめらかな社会は実現でき..

今回カンバセーションズに初登場するのは、ウェブサイトのデザインから展覧会での作品発表まで、デザイン/プログラミング領域で多彩な活動を展開している「セミトランスペアレント・デザイン」の田中良治さん。その田中さんがインタビューするのは、日本発のニュースアプリとして人気を獲得している「SmartNews」の共同創業者であり、著書『なめらかな社会とその敵』や、仮想通貨「PICSY」などでも知られる鈴木健さん。学術分野からベンチャービジネスまで、多岐にわたる領域を行き来している鈴木さんに、田中さんが聞きたいこととは?

「なめらかな社会」は実現できそうですか?

Q.パーソナライズされたニュースばかりが届けられると、情報が自分の興味があるものだけに情報が偏ってしまうおそれがあるという議論もよくされていますよね。その辺についてはどう考えていますか?

鈴木:自分の周りの話題だけにしか興味を示さなくなってしまうという問題はたしかにあって、いわゆる「フィルターバブル」と言われているものです。情報をパーソナライズすればするほど人の興味は狭く深くなり、それによって民主主義の基盤が脅かされ、対話ができない社会になってしまうと、「フィルターバブル」という言葉をつくったイーライ・パリサーなどは言っています。現在の「SmartNews」では、ジェネラルニュースを配信することで、その危険性を回避しているところがあります。自分の周りのことにしか興味がない人も、地球の裏側のことにしか興味がない人もどちらも不健全だと思うのですが、人々は概して二元論が大好きなので、極端になりがちですよね。それをなくすためにどうすれば良いかということは常に考えていますし、両者をなめらかにつなげられる環境をつくっていく必要があると思っています。

Q.以前に「SmartNews」さんのオフィスで、数学者の森田真生さんによるアラン・チューリングに関するレクチャーを聞かせてもらったのですが、チューリングは哲学的な問いを数学的なモデルにして、それを解いていくことで抽象的な問題を考えていくという話があって、それがとても腑に落ちたんです。「SmartNews」にもそれに近い考え方があるように感じていて、「なめらかな社会」の実現を、ニュース配信という形で目指していることがとても興味深いと思います。

鈴木:本というのは、哲学のフォーマットのひとつですが、普及したのはここ数千年間の話で、それ以前から人類は哲学をしていたはずですよね。宇宙のことや自分たちの存在のことなどを考えながら、人類は歌ったり、祈ったり、踊ったりと色んな行為で哲学をしてきたわけで、現在に置き換えればプログラミングを書いたり、会社をつくったり、数学をしたりすることも哲学のフォーマットになり得ると考えています。

Q.同時に、そういうレクチャーが受けられる環境が社内にあるということも素晴らしいと感じました。


この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
いま、僕たちが話を聞きたい人

カンバセーションズ

インタビュアーという存在にスポットを当てるこれまでにないインタビューサイト「QONVERSATIONS(カンバセーションズ)」。毎回異なるクリエイターや文化人がインタビュアーとなり、彼らが「いま、本当に話を聞きたい人」にインタビューを...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード