井上ひさしさんの「原爆取材手帳」を手にして思う、日本と地球の未来

坂本龍一さん、吉永小百合さん、重松清さん、堤未果さんをはじめとするみなさんの平和を願うメッセージと美しい写真が集いました。『No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ』というA5判の1冊にまとめられ、4/16に刊行されます。連載3回目は、故・井上ひさしさんから託されたメッセージを読んでいただこうと思います。また、おなじく同書に寄稿している、詩人・アーサー・ビナードさんのトークイベントが、4/24、東京・八重洲ブックセンター本店で行われます。お近くの方は奮ってご参加ください。

『父と暮せば』の戯曲を書くための「原爆取材手帳」が、今も井上邸の書庫には残されている。被爆者の手記の書写、小説や新聞記事からの引用、井上氏の反核の思いなどが、特徴のある文字でていねいに書かれている。(写真/森清)

井上ひさしさんの「原爆取材手帳」を手にして思う、日本と地球の未来

講談社『No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ』編集部
小沢一郎

 2014年の晩秋、亡くなった井上ひさしさんの鎌倉のお宅を訪ねました。

 茅葺きのお屋敷は、車も通れない細い坂道を登りきったところにありました。書斎に案内していただくと、机には井上さん愛用の万年筆とめがねが無造作に置いてあり、今も故人が原稿を書き続けているかのようです。
 50年前に書かれた「原爆取材手帳」は、書斎の隣の大きな書庫のすぐ取り出せるところに、整然と並べられていました。両てのひらにちょうど収まるぐらいの大きさの、黒い表紙の手帳でした。
 思わず背筋を伸ばし、指先でつまむようにしてページを開きます。

・どのような理由があろうが「あらゆる核」を認めない。—これが絶対的に正しい。
・二十年たっても、死んだ子は十四才のまま。
・原子力発電所 全世界に四百基以上 日本に五十基

 圧倒されました。
 被爆者の手記の書写、小説や新聞記事からの引用、井上さんの反核への思いなどが、ページを繰っても繰っても、特徴のある文字でていねいに記されています。広島で被爆した父娘を描いた戯曲『父と暮せば』は、これらの手帳に綴られた言葉の果てに誕生したのだと、深く合点がいきました。

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『No Nukes ヒロシマ ナガサキ フクシマ』編集部

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hatogayoung 同氏原作「父と暮らせば」5月16日東京メトロ南北線直通鳩ヶ谷駅2Fホール開催。演:梅治の会 http://t.co/raK5ynAEiN #埼玉 #k_e_fes #井上ひさし #鳩ヶ谷 4年以上前 replyretweetfavorite

hatogayoung 同氏原作「父と暮らせば」5月16日開催。演:梅治の会 http://t.co/raK5ynAEiN #埼玉 #k_e_fes # 4年以上前 replyretweetfavorite

naofukuoka ケイクスでも特集がある!嬉しい。 4年以上前 replyretweetfavorite