山内宏泰
春の京都で楽しむ!「桃山時代の狩野派」
日本の昔ながらの美学といえば、「詫び・寂び」が代表的。しかし実は、縄文土器、歌舞伎、浮世絵のように、詫び・寂びとは逆の方向性を持つ、ド派手な表現も、日本文化には存在します。そちらの、きらびやかな世界を堪能できるのが、現在京都国立博物館で開かれている「桃山時代の狩野派 -永徳の後継者たち-」。桜のころは過ぎましたが華やいだ雰囲気のつづく京都、この機会に足を運んでみませんか?
桜のころは過ぎたといえ、陽気に誘われて人出も多く、春の京都は華やいだ雰囲気に包まれています。東山にある京都国立博物館で開かれている「桃山時代の狩野派 -永徳の後継者たち-」を観に、こちらまでやってまいりました。

《洛中洛外図屏風》富山・勝興寺
日本の美術は大まかに見て、ふたつの流れを有しています。まずは「侘び・寂び」といった言葉に象徴されるような、地味で渋くて、けれどじっくり味わえばジワジワとよさがこちらの内側に沁みこんでくる表現。山水画や書、枯山水の庭園に能の舞台もそうでしょうし、文芸でいえば短歌や俳諧などがこれにあたりましょうか。
もうひとつはまったく逆の方向性を持つ、きわめて派手で突拍子もない形態や内容、色使いを擁する表現です。縄文土器、歌舞伎の舞台、浮世絵の数々が代表的なものといえましょう。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/