撮影:興村憲彦
生かされている、という感覚を持つ
人はなぜ生きるのか? ずいぶん難しいことを訊きますね。
自分が眠たくて寝たにもかかわらず、ある時間がくると、ひとりでに目が覚めるでしょ。「先も見えないし、生きていくのにちょっと自信がないので、できればしばらく冬眠していたいんです」ってお願いしても、そうはならない。ある時間が来ると、必ず、ひとりでに目が覚める。
あれ、目が覚めてるんじゃないんですよ。何かに叩き起こされているの。なんのために叩き起こされているかというと、何かが「生きろ!」って言ってるの。毎朝、何かが「生きろ!」って、ぼくらを叩き起こしてるんですよ。
起きると、それぞれにいろんなことが待っている。始業時間だったり、出社時間だったり、勉強だったり、仕事だったり、家事だったり、子育てだったり、ボランティアだったり、地域活動だったり。やらなきゃいけないことを必死で終わらせていたら、「なんのために生きるのか?」なんて、考える時間は多分ないよ。