読書で賢く生きる。

2015年、ビジネス書界の金脈は「ヤンキー」にあり?—vol.10

中川淳一郎さん、漆原直行さん、山本一郎さんの三人が2014年気になったキーワードから、これからのビジネス書がターゲットにすべき市場を探る連載最終回。文字を読むことが苦痛な人たちを取り込んでいかないといけない状況に置かれ、停滞するビジネス書界は2015年どうなるのでしょうか? 「ビジネス書ぶった斬り」3人組が〝読書を武器に生き残る知恵〟を伝授する著書『読書で賢く生きる。』より、一部抜粋していきます。

『ビリギャル』とマイルドヤンキー市場

漆原直行(以下、漆原) ここでちょっと、2014年気になったキーワードを挙げてみたいと思います。まずは「稲盛和夫」。稲盛さんの神格化が続いて、2015〜2016年あたりで総括本も出版されるんじゃないかなと予想します。いろいろ言う人もいるけど、経営者としてはタフな人だし、個人的には評価できると思いますけどね。

稲盛流コンパ 最強組織をつくる究極の飲み会
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 あと、続いてのキーワードは「バカ」。愚者に対する諦観みたいな。2013年に上梓された中川さんの『ネットのバカ』もそうだし、世の中にいるバカに対しての諦観をモチーフにしたものが増えていくと予測しています。あと「マイルドヤンキーをネタに一捻り」的な本のブームも続くんじゃないかと。いま、金脈ってここしかないでしょう。

山本一郎(以下、山本) 『強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話』なんかもそうでしょう。出発点がえらい低い。『ビリギャル』も同じで、あれなんかも系譜としては精神主義的な成功体験が描かれている。ヤンキー本で売れたものって、割と一発系が多いと思うんです。同じ系統の本を何冊も出して、コンスタントに売れたって人を知らない。

強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話 (徳間書店)
強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話 (徳間書店)

学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話[文庫特別版] (角川文庫)

漆原 地方とかに行ったときに感じる、あの圧倒的なヤンキー感って独特じゃないですか。普段、東京で生活しているとあまり視界に入ってこないんだけど、早婚で20代前半なのに子供は2、3人いて、ドン・キホーテで買ったサンリオ系のジャージを家族全員で着て、軽自動車に乗ってロードサイドの大型ショッピングモールに行く……みたいな生活スタイルの日本人は、自分たちが思っている以上にいる。
 そういったヤンキー、マイルドヤンキーたちをめぐる世界観みたいなところって、ある種のビジネスチャンスになってくるということも含めて、その層を狙った本も出てくるんじゃないか、と。

山本 そもそも10年くらい前に、ヤンキー雑誌を読んでいた層が結婚して、子供ができて、大人としての自覚が出てきて、本でも読もうかねってなったときに、でも俺、活字読めねえーし。だから、ヤンキーの知力に見合った本へのニーズはあるし、そういう各々に応じた市場が出来上がりつつある。
 その中で、本を読みきる力がない人でも、1冊本を読んでもらおうと、読みやすいものをつくるという流れはありますよね。『ビリギャル』だって、文章自体はクソなんですよ。でも、ラノベ感覚で読みやすいという。あれはあれでありなんですよ。ある層は買って読んでいるわけだから、本の価値はあったということ。

漆原 コミカライズが売れるのも、そういう背景があるからですよね。ビジネス書を読もうとしたけど、読みきれなかった人たちがお客さんになっているんじゃないかな。

2015年ビジネス書界を予測

中川 そんな中、2015年はいったいどうなっていくのか?

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読書で賢く生きる。

中川淳一郎 /漆原直行 /山本一郎

先が見えず、目標も持ちづらく、人生に迷っている人が多い今日このごろ。書店にも、そうした不安を見通したかのような自己啓発書やビジネス書が多く並んでいます。しかし、あまりにもトレンドが変わりやすく、多くの本が出版されているこのご時世に、本...もっと読む

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コメント

kuma_kuma 『ビリギャル』についても、さらりと触れてますね。 http://t.co/DU1TGQ0DVW 2年以上前 replyretweetfavorite

NaO_UrUsY 鼎談連載、第10回!? ここまで続くとは思わなかったw  2年以上前 replyretweetfavorite

kirik まだ連載つづいとる… 2年以上前 replyretweetfavorite