『嫌われる勇気』はなぜ売れたのか?
中川淳一郎(以下、中川) 2014年のビジネス書は豊作だったんですか?
漆原直行(以下、漆原) いや、寡作でしたね。割と小粒感というか、目立ったキャラクターや拡散するようなキーワードも生まれなかったような印象です。勝間和代さんや本田直之さんがブイブイ言わせていた、2008〜2010年ごろと比べると、その勢いはなくなっているような感じですね。でも、こうした中、2013年に刊行された『嫌われる勇気』が40万部超えというニュースもありました。昨年のビジネス書では最大のベストセラーでしょう。
要は真の自由を得るには、人に嫌われることも辞さず、自分の信じる最善の道を選んでいこう、みたいな話。常にいい顔をして好かれようとすると、自分のキャパシティや能力を超えてしまって、結果的に他者に対しても迷惑をかけることになるという。ひいては嫌われる結果にさえなるんだと。
だったら最初から自分の意思とか、思いとかにちゃんと向き合って、相手に嫌われる勇気を持つことで自分は自由が得られるのだ……大雑把にいうと、そんな感じでしょうか。ただ、刊行以来長らく『嫌われる勇気』が売れ続けているのは、実は不思議で仕方がないんです。
中川 なんか、いまの社会情勢とかと関係あったりするんですか?
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