読書で賢く生きる。

ワタミ本も『殉愛』も、コンテクストで読むとめちゃくちゃおもしろい—vol.6

書店をにぎわせている「ビジネス書」ですが、刊行点数の多いぶん「焼畑農業」と化している面もあるそうです。そうした中で有効に読書をするには、「裏事情」と「コンテクスト」がスパイスになるようで……。中川淳一郎さん、漆原直行さん、山本一郎さんの「ビジネス書ぶった斬り」3人組が〝読書を武器に生き残る知恵〟を伝授する著書『読書で賢く生きる。』より、「出版によせての鼎談」を公開していきます。

焼畑農業と化しているビジネス書業界

山本一郎(以下、山本) ビジネス書って実際いまどうなの? たまにあの手の出版社でもおもしろい本があったりもするけど。

漆原直行(以下、漆原) ビジネス書はほとんどが焼畑農業的ですよね。一度出せばすぐネタが尽きるような著者を引っ張ってきて、ローコストで本を作る。それでも何作かに1作、ビッグヒットが出れば回収できますから。あと、社長本はもうエンタメ本として読む。それぐらいの距離感のほうが、かえっておもしろい。

中川淳一郎(以下、中川)社長本って本来、企業の規模や格と密接に関わるはずじゃないですか。

山本 うん?

中川 いやね。例えばなぜゴーン社長の本を読みたがる人は多いのに、豊田章男の本を読みたがる人はそこまでいないのか。企業としての日産は、規模も知名度もトヨタの足元にも及ばないじゃないですか。なのに「社長本」のニーズとなるととたんにゴーンの人気が高くなる。

日経ビジネス経営教室 カルロス・ゴーン リーダーシップ論
日経ビジネス経営教室 カルロス・ゴーン リーダーシップ論

山本 パッケージングの力じゃない? カルロス・ゴーンの持ってるパッケージ力と、豊田章男のパッケージ力の差。

漆原 もう単にゴーンさんのキャラが立っているからと言う説もある(笑)。スズキの会長兼社長である鈴木修さんもそうだけど、キャラを立てるとひとりにフォーカスを当てやすい。トップの経営手腕という文脈に乗せやすいんじゃないですか。

中川 でも、企業規模で言えば、トヨタのほうが大きいし、純粋な経営者としての力量では豊田章男のほうがすぐれている可能性はあるわけですよね。

山本 それは……何とも言えない(笑)。

漆原 大きすぎるうえ、歴史もあるから社長の求心力単体に焦点を当てづらいんですよ。あと、トヨタには社内で培ってきた「かんばん」方式や「カイゼン」など、世界的とも言える企業内の仕組みがある。「社長本」以外の切り口の方が作りやすい。

コンテクストで読むという方法

中川 経営者本で言うと、いま渡邉美樹の『きみはなぜ働くか。』がおかしくてしょうがないんだけど(笑)。

きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉
きみはなぜ働くか。―渡邉美樹が贈る88の言葉

漆原 あれは、最高ですよ!

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読書で賢く生きる。

中川淳一郎 /漆原直行 /山本一郎

先が見えず、目標も持ちづらく、人生に迷っている人が多い今日このごろ。書店にも、そうした不安を見通したかのような自己啓発書やビジネス書が多く並んでいます。しかし、あまりにもトレンドが変わりやすく、多くの本が出版されているこのご時世に、本...もっと読む

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コメント

hisaya_010279 例えばなぜゴーン社長の本を読みたがる人は多いのに、豊田章男の本を読みたがる人はそこまでいないかの件とか面白かったw 2年以上前 replyretweetfavorite

Count966 「デザイナーとしては1・5流くらいの×××××」 5文字か・・・/ 2年以上前 replyretweetfavorite

NaO_UrUsY 鼎談連載6回目!  2年以上前 replyretweetfavorite

unkotaberuno 本を読むにあたっては、著者やその本が生まれた背景について知っとくと面白いよ、というお話です→ 2年以上前 replyretweetfavorite